平成14年度「少子・高齢化社会における日本の選択 |
〜教育、福祉と経済の戦略」研究委員会 |
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平成13年度に引き続き、京都大学経済研究所の西村和雄教授を委員長に迎え、標記研究委員会を設置し、去る7月11日より本年度の活動を開始した。
日本は世界でもまれな早さで少子・高齢化社会に向かっている。少子・高齢化社会の到来は、若年労働力人口の減少、経済成長率の低下および社会保障における現役世代の負担の増大など、深刻な影響を及ぼすことが懸念されている。しかし、少子・高齢化社会をテーマとしたこれまでの研究やプロジェクトの多くは、特定の狭い分野の問題に限定した研究や、行き着く所の社会がどのようなものであるか、といった議論に留まっている。
本研究委員会は、こうした問題意識のもと、より広いマクロ的な見地から、深刻な少子・高齢化社会が到来する以前の段階である現在の「過渡期」を、どのような具体的な施策によって安全に乗り切ることができるかについて総合的に議論するとともに理論的な肉付けを行い、21世紀に向けた効果的な提言を行うことを目指している。
初年度の平成13年度は、女性の就業、児童福祉政策、人口動向、経済・社会政策、地方自治体による子ども家庭福祉施策と児童虐待問題、育児支援と年金改革、小児科医療、オランダにおけるワークシェアリング、社会保障の財源調達をテーマに取り上げ、個別分野ごとに制度上の問題点や課題をケーススタディ的に明らかにし、少子・高齢化社会における持続可能な制度の方向やあり方を検討した。
平成14年度においては、高等教育やワークシェアリング、さらに介護保険など個別分野ごとの検討をさらに深めるとともに、各分野に共通する問題点や課題を抽出しながら、少子・高齢化社会に向けた基本戦略を明らかにする。共通視点としては、例えば、日本のガバナンスシステム(適切かつ合理的な政策評価・意思決定などのシステム)、不合理な制度・慣行の下で人材を活かせない日本のシステム(非効率かつ不合理な人材育成・評価・活用システム、年齢差別など)の改革の方向などを想定している。
当委員会は財政学、労働経済、社会学、医療、社会福祉、教育等各分野の専門家からなる以下の委員(敬称略)によって構成している。月1回を目途として今年度中に10回程度委員会を開催し、年度末をめどに報告書をとりまとめる予定である。
委員長 |
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西村 和雄 |
(京都大学経済研究所教授) |
委 員 |
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池本 美香 |
((株)日本総合研究所 調査部 主任研究員) |
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牛丸 聡 |
(早稲田大学政治経済学部 教授) |
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※ |
岡部 恒治 |
(埼玉大学経済学部 教授) |
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倉元 直樹 |
(東北大学アドミッションセンター 助教授) |
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永瀬 伸子 |
(お茶の水女子大学生活科学部 助教授) |
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筒井 孝子 |
(厚生労働省 国立保健医療科学院 福祉サービス部 室長) |
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※ |
戸瀬 信之 |
(慶應義塾大学経済学部 教授) |
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八木 匡 |
(同志社大学経済学部 教授) |
※は平成14年度からの委員。その他の委員は平成13年度からの継続。
また、これまでの開催状況は以下のとおり。
第1回 |
日 時 |
: |
2002年7月12日 |
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講 師 |
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有馬朗人 [参議院議員] |
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テーマ |
: |
多すぎる大学の存続への可能な道は |
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第2回 |
日 時 |
: |
2002年8月26日 |
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講 師 |
: |
林 謙治 [国立保健医療科学院 次長] |
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テーマ |
: |
わが国における低出生率の社会的インパクトと将来展望
−スウェーデンにおける出生率回復の分析から− |
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第3回 |
日 時 |
: |
2002年9月30日 |
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講 師 |
: |
黒羽亮一 [常磐大学 国際学部長] |
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テーマ |
: |
1970年代から’80年代半ばまでの日本の教育政策 |
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第4回 |
日 時 |
: |
2002年11月15日 [予定] |
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講 師 |
: |
藤正 巖 [政策研究大学院大学 教授] |
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テーマ |
: |
人口減少社会への対応、「極大値後の社会」プロジェクトについて |
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