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2003年 2号

Conference
チャイナカウンシル「循環経済とクリーナープロダクション
タスクフォース」第2回会議 出席報告



 本年2月20日(木)〜24日(月)、中国・上海市及び南京市においてチャイナカウンシル「循環経済とクリーナープロダクション・タスクフォース(CE&CPTF)」第2回会議及び地元関係者を対象とした「循環経済学術報告会」が開催された。

1.チャイナカウンシル・CE&CPTF 第2回会議
(1) チャイナカウンシル・CE&CPTFについて
CE&CPTFは、第2フェーズでの「クリーナープロダクションWG」を引き継ぐ形で発足したもので、クリーナープロダクションと循環型経済導入のための長期戦略の検討や導入ツール及び導入メカニズム/システムに関する研究を行う。そして検討結果と中国政府に対する提言案を2003年秋のチャイナカウンシル本会議に提出する。
正式メンバーは、慶應義塾大学・井出亜夫教授と清華大学・銭易教授を共同議長として、欧米・中国の専門家各5名。
第1回会議は、2002年12月13〜16日に、中国遼寧省瀋陽市で開催された。
(2) CE&CPTF第2回会議への参加者
【CE&CPTFメンバー】
○共同議長
  ・井出 亜夫 慶應義塾大学 3E研究院 教授
  ・銭  易(Qian Yi) 清華大学 環境科学工学部 教授、中国工学院 院士
○委員
  ・席 徳立(Xi Deli) 清華大学 環境科学工学部 教授
  ・陸 鐘武(Lu Zhongwo) 東北大学 教授、中国工学院 院士
  ・諸 大建(Zhu Dajian) 同済大学 教授、同・持続的発展センター 副所長
  ・王 漢臣(Wang Hanchen) 国家環境保護総局(SEPA) 局長顧問
  ・Alan Brewster イェール大学 森林環境研究院 院長
  ・Changchun Lao(労 長春) カナダ=中国クリーナープロダクション協力プロジェクト
  ・Jacqueline Aloisi de Larderel 国連環境計画(UNEP) 技術産業経済部長
  ・Judy Castledine ダウ・ケミカル・パシフィック 環境・健康・安全部長
【ゲスト/オブザーバー】
  ・張 坤民(Zhang Kunmin) チャイナカウンシル 事務局長
  ・木村耕太郎 GISPRI専務理事
  ・Rolf Dietmar 中独政府技術協力プロジェクト プログラム・ダイレクター
  ・Ralph A. Luken 元 国連工業開発機関(UNIDO)
   
(3) 主な内容と検討結果
  1)上海市の取り組み、市内視察について
循環経済構築に向けた上海市の取り組みについて、関係部局(上海市発展計画委員会、 上海市経済委員会、上海市環境保護局)から説明を聞いた。これに対する委員(主として外国人委員)の反応・意見は以下のとおり。
「第二次環境保護3カ年計画(’02〜’05年)」でかなり意欲的な計画を掲げているが、政府によるかけ声だけで事が進むのか懸念を感じる。企業や一般市民を巻き込む施策が不足していると思う。
様々な部局が様々な目標と施策を掲げているが、それを統合する必要があるのではないか。遼寧省では省長がリーダーシップをとっていたが、上海市には市政府として誰がリーダーシップをとっているのか見えない。各セクションが同床異夢に陥る危険性があるのではないか。
上海市徐匯区政府、上海市盧湾区市容管理局を訪問し、各区レベルの取り組みについて説明を聞いた。また、ホテル・レストラン・学校等から出た生ゴミを処理して有機肥料や家畜用飼料を製造している生ゴミ処理施設、古紙・金属くずなど資源ゴミの集積センターなどを視察した。生ゴミ処理場は台湾資本の私企業で、政府からの補助金と肥料や飼料の販売で運営されている。生ゴミの処理過程で薬品処理が行われていることや、品質確認の頻度の少なさから、委員からは製品の安全性に対する懸念の声が聞かれた。事実、肥料は園芸用として販売されているとのこと。
2)チャイナカウンシル本会議に提出する報告書・提言についての討議
2003年秋に開催されるチャイナカウンシル本会議に提出する報告書・提言の策定に向けて、各委員間の分担とタイムテーブルについて議論した。
3R原則など循環型社会構築に向けた海外・中国国内の事例研究は、5月中に中国側・海外側編集担当委員に集約したのち、7月までに全委員に回付されることになった。
3)「循環経済学術報告会」
上海市政府・江蘇省政府がそれぞれ傘下の政府機関及び研究者等を招集して開催した「循環経済学術報告会」に参加し、木村GSPRI専務理事が「循環型社会構築に向けた日本政府の取り組み」と題する講演を行ったほか、各委員及びゲストスピーカーが講演を行った。
上海での報告会には約150人、南京での報告会には約270人の聴衆が集まった。

(文責:佐々木 亨)