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2003年 4号

Meeting
IPCC第4次評価報告書作成に向けて
平成15年 5月16日
環境省
経済産業省
気象庁
文部科学省
1.IPCC第4次評価報告書について
(1) IPCCは、温室効果ガスによる気候変動の見通し、自然、社会経済への影響評価及び対応策の評価を実施しており、直近では第3次評価報告書が2001年に作成されています(http://www.ipcc.ch)。
(2) 第4次評価報告書は2007年に採択予定であり、第3次評価報告書と共に2005年以降本格化するとされる第2約束期間以降の国際的枠組み交渉における重要な基礎となるものです。
(3) IPCCは、自らが新たな研究を行うのではなく、発表された論文を評価し、IPCCとしてのとりまとめを行います。IPCCに認められるということは、その研究が国際的に高く評価されるということと同義です。
(4) IPCCは後述の日程にて作業を進めます。日本としてこのプロセスに積極的貢献を行う観点からも、関連のご研究をされている方々には、是非ともタイミングを逃さずに論文を出されることを期待いたします。

2.IPCCの組織
 IPCCには、3つの作業部会(WG:Working Group)及びインベントリータスクフォースがあり、第4次評価報告書はそれぞれの作業部会で検討します。
第1作業部会(WG1:気候変動の科学的知見)
第2作業部会(WG2:気候変動の自然と社会経済へ影響及び適応策)
第3作業部会(WG3:気候変動対策)

3.IPCCの検討テーマ
本年4月に開催された第一回スコーピング会合の結果として、第4次評価報告書の骨子として以下のような提案が出てきています。なお、骨子は継続検討中であり、最終的には2003年11月のIPCC第21回総会で決定されます。
第1作業部会 (WG1)
科学の進展についての紹介
気候システムとの相互作用
大気圏、陸面、海洋で観測された変化
水圏、降雪、凍土の変化
古気候
気候モデル(気候値や季節変化の再現)
気候変動・変化の原因
気候モデルによる予測(大気海洋結合モデルによる予測、予測の不確実性等)
地域別気候予測

第2作業部会 (WG2)
観察された地域気候変化の影響
予測された将来の気候変動下での影響評価
適応オプション、能力、プラクティスの評価等
UNFCCC第2条に記されている主要な脆弱性の評価
地域毎の分析
アフリカ、アジア、豪/NZ、欧州、ラ米、北米、極圏、小島嶼国の個別地域ごとに、予想される影響、適応策、政策への影響等を評価

第3作業部会 (WG3)
気候変動緩和への挑戦
気候変動の時間軸、長期的な緩和措置と短期・中期的緩和措置の関連
意志決定、不確実性、コスト、技術開発と普及、分配・公平性の枠組み、等
長期安定化及び緩和シナリオの評価
緩和・安定化シナリオ、開発パスの可能性、技術の役割
中・短期緩和措置の長期安定化への影響、等
緩和措置の評価
分野別の緩和措置の評価(温室効果ガス排出削減の可能性と効果、コスト等)
分野横断的事項(全般的な措置の可能性、経済的措置、マクロ経済効果、技術移転、持続的開発との関係等)
今後の国際合意の様式についての評価
様々な緩和措置の公平性、効率性、効果
適応とのリンク、地域協力、技術協力
意志決定の枠組み等
横断的テーマ
 横断的テーマは、WGをまたがる主要な課題として選ばれたものです。これらのテーマを報告書の中でどのように扱っていくか(例えば、それぞれのWG報告書の中の部分として扱うか、統合報告書の中で改めて取り上げるかなど)については、現在、検討中です。
不確実性とリスク
緩和と適応の統合
主要な脆弱性(GHG濃度の危険なレベルを含む)
持続可能な開発
地域毎の評価
技術
(2) なお、これらのテーマ及び各国政府の意見を踏まえ、二度(4月及び9月)のスコーピング会合により第4次評価報告書骨子案を検討、作成し、2003年11月の各WG全体会合及びIPCC総会にて第4次評価報告書の骨子及び作成作業計画が承認される予定です。

4.第4次評価報告書の作成に関する今後の予定
2003年 4月14〜16日 第1回スコーピング会合(第4次評価報告書の範囲、手法、主要な科学的事項、横断的事項等)
第1回スコーピング会合後 スコーピングペーパー案配布、各国コメント受付
  9月1〜3日 第2回スコーピング会合(横断的事項、統合報告書、第4次評価報告書骨子案・作業計画作成)
  11月3〜7日 IPCC第21回総会(骨子案・作業計画の審議、承認)
(11月4-5日は、各WG全体会合)
  11月 事務局より、各国・機関に対し、執筆者・査読者等を募集
2004年 4月 IPCC及び作業部会ビューロービューローが執筆者・査読者等を選択
  6月以降 第1回CLA/LA会合の開催
     
  (作業計画に従って、第4次評価報告書ドラフトの執筆に着手)
     
  (第1次・第2次ドラフトについて、査読者及び政府によるレビュー)
     
  (IPCC総会にて受理、採択又は承認作業が行われ、完成・公表)
統括執筆者 CLA(第3次評価報告書では、CLA・LA併せて455名、 日本からは21名)
代表執筆者 LA
執筆協力者 CA(第3次評価報告書では839名)
査読編集者 RE(第3次評価報告書では72名、日本から3名)
査読者 Expert Reviewer(第3次評価報告書では日本から68名)

5.IPCC国内連絡会について
(1) IPCC国内連絡会は、第3次評価報告書の作成にあたって、平成11年より日本国内の執筆者・査読編集者を中心としたメンバー構成により、IPCC全体の進捗状況の把握や第3次評価報告書に関する情報の共有化・意見交換等を図る目的で開催されました。
(2) 第4次評価報告書の作成に向けても、第3次評価報告書と同様に第4次評価報告書の執筆者・査読編集者(2004年4月、IPCCにより決定される予定)を中心にしたメンバーにより、連絡会を開催することを予定しております。
(3) この連絡会のもとには、必要に応じてIPCCの各作業部会に対応する分科会を設置し、分科会毎に執筆者の支援を行っていくことを検討しております。
(4) 第4次評価報告書に対応した国内連絡会は、2004年度より設置し、開催していく予定です。

6.IPCC国内連絡会準備会について
(1) 当面(H15年度中)は、スコーピング会合での検討状況についての情報提供及び、日本から提供可能な知見に関する検討等を行う目的で、国内の専門家の参加を得て準備会を開催していく予定です。
(2) 構成メンバーは、第3次評価報告書の国内連絡会の委員、第4次評価報告書のスコ−ピング会合の出席者、及びオブザーバーとして今後IPCCでの活動が期待される研究者の参加により開催していく予定です。
(3) 今回は、その第1回目の会合であり、今後の予定としては、9月に開催される予定の第2回スコーピング会合に対応して開催する、必要に応じて開催していくこととしております。

7.第4次評価報告書の執筆者(CLA、LA)、査読編集者(RE)、査読者(Expert Reviewer)等の推薦について
(1) 第4次評価報告書の執筆者等の推薦は、今年11月より募集が開始される予定となっています。
(2) 我が国としても、第3次評価報告書への貢献を上回るよう、第4次評価報告書の参画研究者を増やすべく、より多くの研究者を推薦していきたいと考えております。
(3) そのためには、ただちに推薦のための作業に着手し、研究者の推薦を強く働きかけていくことが重要です。
(4) このため、委員及び今回の準備会に参加された研究者の皆様には、積極的に推薦者候補になっていただくともに、更に今後のIPCCでの活躍が期待される研究者を中心に、推薦していただくようお願い致します。
(5) なお、推薦者候補については、可能な限りご本人の了解を得た上で、推薦者候補の方の専門分野を勘案して、別添1の書式及び別添2の履歴書(curriculum vitae、英語版)に必要事項を記入の上、下記の事務担当者に遅くとも6月末までに提出方よろしくお願い致します。
 
○今後の作業予定
5〜6月末日 第4次評価報告書執筆者の推薦者候補の推薦
  各作業部会毎の推薦者候補リストの作成
7〜8月 推薦者の履歴書(curriculum vitae)のとりまとめ
9月 第2回スコーピング会合(推薦者についてIPCC関係者に情報提供)
11月 第21回総会(推薦者についてIPCC関係者に情報提供)
11月以降 外務省を通じて、IPCC事務局に推薦者のリストを提出
 
○事務担当者

 8.に示される「国内連絡会準備会事務局」の各担当者

8.問い合わせ
  国内連絡会準備会事務局
財団法人 地球・人間環境フォーラム
 TEL 03-5561-9735
 担当者 山岸規子(E-mail:JDV04746@nifty.ne.jp
    諸町爽子(E-mail:BCL01256@nifty.com
財団法人 地球産業文化研究所
 TEL 03-5563-8800
 担当者 阿知波雅宏(E-mail:m-achiwa@gispri.or.jp
IPCC関係省庁の問い合わせ先
気象庁総務部企画課国際室(WG I)
 TEL 03- 3211-4966
 担当者 岸本賢司(E-mail:k-kishimoto@met.kishou.go.jp
環境省地球環境局総務課研究調査室(WG II)
 TEL 03-5521-8247
 担当者 奈良 税(E-mail:CHIKARA_NARA@env.go.jp
経済産業省産業技術環境局環境政策課地球環境対策室(WG III)
 TEL 03-3501-7830
 担当者 菊地 望(E-mail:kikuchi-nozomu@meti.go.jp
文部科学省研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室
 TEL 03-5253-4143
 担当者 板倉輝幸(E-mail:t-ita@mext.go.jp