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ニュースレター
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2003年 4号 |
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Meeting | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
I.IPCC( Intergovernmental Panel on Climate Change)とは
IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)は、人為的な気候変動リスク、影響及び対策オプションに関する最新の科学的・技術的・社会経済的な知見をとりまとめて評価し、各国政府に政策立案等に関連した(policy relevant)情報を提供することを目的とした政府間機構であり次の特徴が挙げられる。
大洪水や干ばつ、暖冬といった世界的な異常気象を契機に、1979年、WMOとUNEPは気候と気候変動に係わる研究を開始した。その後、気候変動に関する国際的課題が増大するにつれ、各国政府が効果的な政策を講じられるよう、気候変動に関する科学的情報を包括的に提供する必要性が高まった。これらを背景として、IPCCの設立構想が1987年のWMO世界気象会議並びにUNEP理事会で提案され、1988年に承認、同年にIPCCが設立された。
IPCCはもともと国際連合気候変動枠組条約(UNFCCC)とは関係なく設立されたが、第1次評価報告書が気候変動に関する知見を集大成・評価したものとして高く評価されたことから、基本的な参考文献として広く利用されるようになっている。IPCCの報告書は、UNFCCCにおける交渉の重要な基礎の一つとなるものである。現在、作業が進められている第4次評価報告書は2007年に完成する予定だが、その過程でも、2005年から本格化すると予想される京都議定書第一約束期間以降の国際的枠組みに関するUNFCCCでの交渉への貢献が予想される。 II.IPCC報告書作成作業について
IPCC報告書作成にはその執筆だけで世界中の研究者・専門家数百名が関与する。IPCCからの報酬はないが、IPCCの作業に加われること、あるいは報告書に引用されることが世界に認められた研究者・専門家の証となることから、世界有数の専門家が参加している。 参加した研究者・専門家は新たな研究を行うのではなく、発表された研究を広く調査し、評価を行う。また、科学的知見を基にした政策立案者への助言を目的とし、特定の政策の提案は行わない。第4次評価報告書においては従来中心となっていた自然科学技術的分析に加えて、社会・経済的側面の分析を充実させる方針が出されており、経済学・社会学等の分野も重視されている(例えば、温室効果ガス削減措置の社会・経済的影響の評価、持続可能な開発との関係の評価など)。 WG毎に、それぞれの共同議長が全体の進行を主導するが、その中で代表執筆者(LA)が重要な役割を果たす。LAは、WGの議長及び事務局的役割を果たす技術的支援ユニット(TSU)と連携をとりつつ、受け持ちのセクションのドラフトを作成し、それに対して寄せられる多数のコメントを処理しテキストの改定を行うという作業を一手に引き受けることとなる。
IPCC報告書作成作業への貢献は次の3通りがある。 (1) LA等として参加することによる貢献
IPCC報告書作成を支援するために、平成16年度にLA等が確定した時点で国内連絡会を設置する予定である(平成15年度は準備会)。連絡会には、原則、LA等が参加する。また、必要に応じて、情報の収集やIPCCに盛り込むべき内容の検討等を行っていくために、WG毎(必要に応じて特定の課題についても)に分科会の設置を検討する。 準備会の事務局は、地球産業文化研究所(GISPRI)及び地球・人間環境フォーラム(GEF)が共同で務める。 上記(1)のLA等は、選ばれること自体が専門家として世界に認められるというメリットがある一方、ワークロードは大きなものとなる。そのため、国内連絡会を通じて情報の提供や執筆・査読作業の支援を行うほか、研究プロジェクトの評価に当たってIPCCへの貢献を勘案する、LA等として大学や研究機関の専門家がIPCCの会合に出席する場合には、その旅費を支援する等のインセンティブを検討する。(2)の論文発表については、引用されることがその論文の価値を大きく高めることに繋がるものであり、国内として特段のインセンティブは用意していないが、関係省庁等が運営する各種研究資金の配分においては、IPCCに対する貢献の可能性にも十分配慮するものとする。 |
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