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2003年 4号

Study Report
平成14年度「我が国エコビジネスのグローバル戦略」
研究委員会報告書
このたび、標記研究委員会報告書が完成したので、その概要を紹介する。



○ 要旨

 環境ビジネスは我が国産業の重要な位置付けを有している。韓国・中国の価格競争力や欧米の業界集約化の前に近年国際市場におけるシェアは低下しているものの、動脈産業の発展に伴い、その静脈としての重要性が認識され、マーケットの巨大さ、多様さ、新規さから今後有望であると考えられている。

 途上国では、環境政策が講じられつつあるが、環境規制に実効性が十分にあげられておらず、環境装置・技術の導入に対するインセンティブが不十分である。脱硫設備等、エンドオブパイプを軸とした環境設備は、それ自体が利益を生むものでは無い。生産性の向上、省エネルギー等により導入コストを内部化することが必要であるが、途上国のエネルギーコストは安く、環境投資を短期間で回収することを担保できないところに導入の難しさがある。

 従来モデルの踏襲だけでは、エコビジネス競争力強化は不可能である。経済と環境の優先課題の相違が協働行動の障害とならぬよう、国際貿易や経済競争力への関心と調和させる戦略の構築が必要である。

 本調査研究では、平成14年度および15年度の両年実施する前提で、平成14年度は東アジア地区におけるエコビジネス事業拡大に向けて様々な角度から議論を展開した。現状と課題を整理すると共に、政府支援や民間からのアプローチのあり方を検討して具体的な達成方法の提案を行った。課題が多岐にわたるために、個々の検討のテーマは多様であるが、それらはきわめて補完的な関係にある。

○研究委員会名簿(敬称略、 五十音順)

委員長 山本良一 東京大学 国際・産学共同研究センター長
委員 大嶋清治 社団法人日本プラント協会 常任理事
  吉良雅治 三菱重工業株式会社 機械事業本部環境ソリューション・輸出部次長
  國友宏俊 経済産業省 産業技術環境局環境政策課環境調和産業推進室長
  蔵方 宏 国際協力事業団 鉱工業開発調査部資源開発調査課長
  後藤芳一 経済産業省 製造産業局国際プラント推進室長
  五味敬芳 株式会社日立製作所 電力統括営業本部国際開発センター部長代理
  田代重光 日本貿易振興会 技術交流部技術交流課長
  中條 寛 株式会社三菱総合研究所 地球環境研究本部資源・循環研究部長
  番 功朗 三井物産株式会社 電機・プラントプロジェクト本部次長
  星野紀久 日本機械輸出組合 貿易業務部門プラント業務グループリーダー
  前田正尚 日本政策投資銀行 政策企画部長・社会環境グループリーダー
  松本康之 株式会社荏原製作所 営業本部海外事業統括参事
  宮脇邦彦 東洋エンジニアリング株式会社 経営計画本部情報渉外室長
  村田俊哉 千代田化工建設株式会社 渉外室副室長
  山崎亜也 国際協力銀行 国際金融第1部(アジア・大洋州)次長
事務局 木村耕太郎 (財)地球産業文化研究所 専務理事
  本根正三郎 (財)地球産業文化研究所 事務局長
  照井義則 (財)地球産業文化研究所 理事・企画研究部長
  小田原博史 (財)地球産業文化研究所 地球環境対策部次長
(平成15年3月31日 現在)
○報告書目次

第1章 環境立国とサステイナブルアジア
第2章 CDMグリーンプラント 事業
第3章 東南アジア地域におけるごみ発電技術
第4章 再生エネルギー利用による地方電化
第5章 環境事業のソリューション
第6章 ジェトロGAP(グリーンエイドプラン)事業
第7章 我が国企業の生産拠点の海外シフトと環境ビジネスの海外展開
第8章 環境プラントビジネス推進上の問題点とその対応
第9章 欧米の環境プロジェクト戦略と我が国の対応
第10章 持続可能な社会へ―環境経営・ビジネスの視点
第11章 環境ビジネス民間企業の取組みと推進上の問題点
第12章 エンジニアリング会社における省エネ・環境対応―エチレン製造プラントを例として
第13章 我が国エコビジネスにおけるNEDOモデルの位置付けと今後の戦略的運営
第14章 国際協力銀行のエコビジネス支援
(文責 小田原博史)