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2003年 6号

Research Project


ツーリズムの競争力強化に向けた産業的対応

【研究委員会設置趣旨】
21世紀のツーリズムは潜在的に巨大な市場を形成すると予想され、世界はこの市場をめぐるグローバル競争の時代を迎えている。
ツーリズム(ビジターの受け入れ=集客・誘客)は、国・都市・農山村における経済的活力を生み出す新たな源泉と期待されており、この市場をめぐるビジネス・チャンスをどう生かすかによって国や地域の活力に大きな差が生じてくるとみられる。
こうした状況の中で、ここ2−3年の間に日本の観光やツーリズムのあり方に関する提言が相次ぎ、政府も観光立国の実現を目指して2010年までに1000万人の外来客誘致目標に向けた行動計画を作成し、実施しつつある。
新時代におけるツーリズム振興に向けた本格的取組みは始まったばかりであり、今後検討を要する問題や検討を深めるべき課題が数多く残されている。
本研究会では、競争力(集客力)の強化という観点から今後のツーリズムの振興方策、とりわけツーリズムをビジネス面から支える産業的対応のあり方(産業戦略)に焦点を当てた検討を行う。

【主要な検討項目】
1. 新時代におけるツーリズム競争力(集客力)とは何か
競争力をもたらす源泉…人を惹きつける魅力(=磁力)、磁場とは?
コンテンツの魅力
仕掛け(舞台装置、テーマ演出)等
競争力に影響を及ぼす関連諸要因とインフラ…競争のための経済社会基盤
価格(移動・滞在コスト)、規制・制度要因
スムーズな移動を支えるインフラ、安全・快適な滞在のための公共インフラ等
ツーリズム産業の商品力・マーケティング力
競争力をビジネス面から支えるツーリズム産業の商品企画開発力、マーケティング力、サービスの質等
2. 日本におけるツーリズム競争力(集客力)の現状と問題点
面と点からみた日本の競争力の現状(国、都市、農山漁村等)
ビジネス面からみた日本の競争力の弱点
供給サイドの都合優先で、顧客志向でない(旅行ニーズ多様化への対応も不十分)
対日本人ビジネス優先
市場指向のマーケティング戦略が欠如
対外情報発信力が弱い(アピールできる潜在的魅力は充分にある?)等
3. ツーリズム競争力(集客力)強化のための産業戦略上のポイント
(以下の中から取り上げるべきテーマを選択する)
魅力のブランド化
個性化・差別化戦略による地域価値の増大
現代文化と伝統文化の融合による新しい日本の価値創出等
魅力を伝える情報発信力強化
対顧客マーケティング戦略の重視
魅力の表現力の充実・強化
台頭するコンテンツ産業との連携等
旅行ニーズの多様化や環境・高齢化等社会問題への対応力強化
ユニバーサル・ツーリズム(個人・家族、高齢者、障害者等の重視)
サステーナブル・ツーリズム(エコ・ツーリズム、グリーン・ツーリズム)
体験学習型ツーリズム等
イベント・コンベンションとツーリズムの連携強化
集客の相乗効果を高める方策等
日本のツーリズム・ビジネス革新の可能性
競争力のある新しいビジネス・モデル構築(ITの活用等)
異業種やベンチャーなど新しい担い手の参入による業界活性化等
持続的な集客力を支える人材育成のあり方
新しいツーリズム産業(ホスピタリティー産業へ)を支える人材の育成
日本の魅力を外国人に語れる人材の育成(ボランティア・NPOの活用も含む)等

【研究委員会名簿】
(委員長)    
  福川伸次   (株)電通顧問(地球研顧問)

(委員)
   
  青山佳世   フリーアナウンサー
  東徹    日本大学商学部教授
  小島明    日本経済新聞社専務取締役
  小林英俊   (財)日本交通公社理事・観光マーケティング部長
  島川崇   日本総合研究所研究員
  田中秀範   (株)電通プロジェクトプロデュース局局次長 シニアプロデューサー
  寺前秀一   (社)日本観光協会 理事長
  橋爪紳也   大阪市立大学大学院文学研究科助教授
  藻谷浩介   政策投資銀行地域企画部参事役
  安岡譲治   (株)オリエンタルランド広報部長
   (五十音順)

(専門委員)
   
  中村純子   横浜商科大学商学部 貿易・観光学科講師

(オブザーバー)
   
  経済産業省大臣官房政策企画室長他
  (敬称略、順不同)

(委員会事務局 照井義則)