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第9回WGV会合 |
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承認されたSPMは全35ページで、7部構成(セクションA:序論、セクションB:温室効果ガス排出量の動向、セクションC:短中期の緩和(2030年まで)、セクションD:長期的な緩和(2031年以降)、セクションE:気候変動緩和の政策、措置、手法、セクションF:持続可能な開発と気候変動の緩和、セクションG:知識のギャップ)となった。
承認されたSPMの主なポイントは以下の通りである。 |
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温室効果ガス排出量の動向 |
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温室効果ガス(GHG)の排出量は、産業革命以降増えており、温室効果ガス全体として、1970年から2004年の間に約70%増加した。現状のままで行くと、世界のGHG排出量は、今後20〜30年間も増加し続ける。 |
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短中期的な緩和(〜2030年) |
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2030年における削減可能量は、積み上げ型の研究によると、炭素価格が二酸化炭素換算で1トンあたり20米ドルの場合は、年90〜170億トン(二酸化炭素換算)であり、炭素価格が同様に100米ドルの場合は、年160〜310億トン(二酸化炭素換算)である。 |
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エネルギー需要を満たすために、エネルギー供給を増加させるよりも、エネルギー利用効率の向上に投資する方が、費用対効果が大きい。 |
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原子力は2005年の電力供給量の16%を占めるが、2030年には、炭素価格が50US$/tCO2-eq以下の場合、電力供給計量の合計の18%を占める可能性がある。しかし、安全性、核兵器拡散、核廃棄物の問題が制約条件となる。 |
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長期的な緩和(2031年〜) |
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大気中の温室効果ガス濃度を安定化させるためには、排出量は、どこかでピークを迎え、その後減少していかなければならない。 |
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2050年において、温室効果ガスを445〜710ppmCO2-eqの間で安定化させた場合のマクロ経済影響は、世界平均でGDP1%の増加から5.5%の損失までの値を取る。影響は国やセクターにより異なる。 |
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政策、措置、手法 |
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温室効果ガスの排出緩和を促すインセンティブを策定するため、各国政府がとりうる国内政策及び手法(規制措置、税金・課徴金、排出権取引制度、自主協定、情報的措置、技術研究開発など)は多種多様であるが、いずれの手法にも利点と欠点が存在する。 |
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産業界と政府の自主協定は政治的に魅力ある政策で、利害関係者間の意識を向上させ、多くの国内政策の進展に一定の役割を果たしてきた。大半の協定は、ビジネスアズユージャル(BAU)以上の大幅な排出削減をもたらしてはいない。しかし、2,3の国(日本、ドイツ)における最近の協定では、利用可能な最善の技術の導入が促進され、明確な排出削減に繋がった。 |
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2. |
第26回全体会合 |
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第1〜第3作業部会の各作業部会報告書は、異議なしで受諾された。その他の主な議題の概要は以下のとおりである。
(1)「再生可能エネルギーに関する特別報告書」作成の提案
昨年の前回会合で正式にドイツから同報告書作成の提案があったもので、スコーピングミーティングが2008年1月にドイツ・リュベックで行われることが決定した。
(2)将来の排出シナリオ
排出シナリオに関する特別報告書(SRES)に代わる新しい将来のシナリオの必要性が幅広く認識されており、研究者主体で作成し、IPCCは調整役(catalyst)とすることが前回会合において合意されていた。
モデル研究者や科学者の参加のもと、2007年9月にオランダで「ベンチマーク濃度シナリオ」に関する専門家会合を開催し詳細を検討することになった。これにより、気候モデルのシミュレーション作業と排出シナリオ開発の作業を別々に行えるので時間の短縮が期待される。 |
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3. |
次回会合予定 |
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第27回全体会合がスペイン・バレンシアで11月12日〜16日に開催され、第1〜第3作業部会の各作業部会報告書のエッセンスを取りまとめた統合報告書(Synthesis Report)が承認される予定である。 |
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以上 |