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ニュースレター
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2007年 3号
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Report | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「中小事業者の温暖化対策の促進に関する調査研究委員会」は工藤委員長(日本エネルギー経済研究所 地球環境ユニット ユニット総括)の下で計4回開催された。本調査研究では大企業に比べて省エネルギー・温暖化対策の取り組みが遅れていて、温室効果ガス排出削減余地が大きいと思われている中小事業者について、当該事業者での省エネルギー・温暖化対策を促進するにはどうすべきかを幅広い視点で検討した。 中小事業者は数が膨大で、経営資源が乏しいという点で大企業とは異なるため、その特徴を十分に踏まえて取り組みを考えなければならない。よって本調査研究では、次のような基本的な考え方に基づいて検討を行った。 1)中小事業者を一括りとするのではなく、特徴によって分類し考える 2)ステークホルダーからのインセンティブ付与により、自主的な取り組みを促す 3)既存取り組みの一層の改善やそれぞれの高度な連携を重点的に検討する アンケートの結果等によると、中小事業者は規模が大きい企業のように省エネルギー・温暖化対策に関する意識が高くない。よってまずは省エネルギー・温暖化対策に取り組む意向の有無を基本に中小事業者を以下の6つのカテゴリに分類し、それぞれの特徴について考察した。 @やりたいが、障碍があってやっていない Aやりたいが、手法が分からないのでやっていない Bやりたいが、やっても効果が小さいのでやっていない C効果が見えないので、やらない D自らは手のうちようがない、あるいは見返りがないので、やらない E効果が著しく小さいので、やらない さらに各カテゴリについてステークホルダーとの関係から既存の取り組み・施策を整理し、抱えている課題を抽出した。また限られたデータ・情報の中での検討ではあるが、今後望まれる方向性として5つのアイデアを示し、先に述べた中小事業者のカテゴリとの対応について検討した。 (1)補助金の費用対効果の向上 (2)中小事業者の与信の強化 (3)温室効果ガス排出量取引の実施と政府等による買取 (4)各ステークホルダーの協業・連携 (5)簡易な省エネルギー診断の実施
中小事業者を検討する上での最大の問題は、エネルギー統計を始めとするデータが限られていることである。本来なら多種多様なデータを大量に収集し、きめ細かな分析を行った上で対策を考えるべきであるが、京都議定書の第一約束期間を目前に控えた状況では時間的に難しい。よって本調査研究では、入手可能な情報を使って効果的な取り組みに関する"仮説"を構築し、関係するステークホルダーが協力してPDCAサイクルを機能させ、継続的にその"仮説"を検証・再構築することを提案した。これにより排出削減という果実を得ながら、より良い取り組みを探索することが出来る。 中小事業者は数が多い上に、業態が多様かつ複雑であり、彼らを完全に理解することは大変困難である。考えることも大切であるが、一刻も早く行動を起こすことが求められる。
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