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ニュースレター
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2007年 3号
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Report | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平成18年度
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目的 従来、インドの対外経済関係は米国やEUに傾斜し勝ちであったが、1991年以降、「ルック・イースト政策」を展開する中で、2002年度には印中貿易が日印貿易を凌駕し、米印貿易に肉薄するレベルにまで拡大した。また韓国企業は対印直接投資で顕著な実績を示しており、目下、印韓両国の間でEPA締結に向けての交渉が進行中で、もはやインドの存在を抜きに東アジアの繁栄と安定を考えることは不可能になっている。 2003年度以降、インドは中国を抜いて我が国の円借款の最大供与先になり、これまで停滞気味であった日印経済関係が、最近ようやく、その強化・拡大に向け、本格的に動きだし、2006年7月には日印合同研究会の報告書が両国首相に提出された。同報告書が指摘するように、両国間の貿易、投資の拡大を図る上で、人的交流、科学技術交流、投資環境整備に向けたODAの活用、環境・エネルギー分野の協力など幅広い取り組みが不可欠である。 本研究委員会では、日印合同研究会報告での議論を踏まえ、日印パートナーシップの強化という観点から、日印貿易、対印直接投資の拡大、さらには人材交流、科学技術交流の活発化を図る上で、今後何が求められるのか、また日印パートナーシップの強化は日本に何をもたらすのか研究を実施したのでその成果を報告する。 成果概要(総括的提言) (1)インド高度人材の活用 インドは高等教育の層が厚く、グローバルに活躍できる高度専門人材を輩出しており、最先端分野の科学技術においても、インドとの連携強化は日印双方にとってメリットがある。ITのみならず、バイオインフォマティックスにおいても人材養成のカリキュラムで、日本はインドから学ぶべき点が多い。 (2)グローバル事業展開を図る上でのインド活用の重要性 日本企業から見て、日本語で対応できる豊富なIT人材や距離的隣接性から、アウトソーシング先としてインドより中国が優先されるが、英語圏を中心とするグローバルな事業展開を得意とするのはインドであり、インドの積極的活用には技術的役務に課せられる10%源泉所得税の更なる引き下げと、日本とインドの複数の主要都市を結ぶ航空便の増便・新設が求められる。 (3)市場、生産拠点としてのインド 中間層の拡大、莫大なインフラ開発ニーズは巨大な国内市場の存在を物語っており、携帯電話の契約者数は世界最速のペースで増加している。中国製品や韓国製品に比べ、小売市場での日本製品の浸透度は低いが、自動車の生産台数は2006年に196万台に達し、更には新興市場への輸出を視野に小型車の生産拠点化が進んでいるほか、無線ブロードバンド市場に日本の通信メーカーの技術システムの採用が検討されている。日本企業のインド進出を促すうえでも道路インフラの整備や物流の効率化が重要な課題であり、日印政府レベル、及び業界団体の緊密な協力体制が求められる。 (4)人材交流 インドのソフトウエア産業台頭のきっかけは米印間で形成された人的パイプであり、日中両国の緊密な経済関係のベースは両国間の活発な人材交流である。インド留学生を増やすためには、奨学金の拡充、更にはインドでの日本語教育の推進が重要で、学部レベルの留学生受け入れの拡大のためには、中等教育機関での選択外国語としての日本語の導入拡大が不可欠。 (5)対印経済協力 日本企業の対印進出の障害と考えられてきたのがインフラ整備の問題であり、目下インドでは民間主導のインフラ整備が振興しつつある。それをサポートするVGF(実現性補填制度)やIIFCL(インドインフラ金融公社)へのツーステップ・ローンは検討されるべき選択肢であり、ODAの活用も有力な選択肢である。
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