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2007年 3号
Report

 

平成18年度
若年層の人材開発と雇用創出を考える研究委員会報告書

平成18年度日本自転車振興会補助事業

 


この度、標題の研究委員会報告書が完成したので、その概要を紹介する。



 若者の高い失業率は先進国社会のみならずその他の国々にも共通するグローバルな課題となりつつある。
 産業構造のサービス化・高度化により若年層にはこれまで以上に高い能力が求められるようになる一方、労働市場のグローバル化の進展により、多くの企業がより低廉な労働力の調達を図る等、若者の雇用環境は総じて厳しさを増しているといえよう。
 ヨーロッパでの若年雇用問題は1970年代から始まり、ドイツ、イギリスをはじめ各国でその対応施策が練られ、成果を得つつある部分もあるが、未だ決定的な処方箋は得られてはいないし、フランスなどでは問題は一層深刻化しているようにも見える。
 日本ではバブル崩壊後、産業界の労働需要の収縮とも相俟って、年代を問わず失業率が上昇、とくに2003年には若年層失業率は10.1%という未曾有の高い失業率を記録した。
 同時に、若年層の無業や不安定雇用の著しい増加も明らかになり、新しい社会問題として認識されるようになるとともに、教育、雇用、或は企業を含む産業経済システムなどさまざまな視点から調査や研究が進められ、政策提言も行われている。
 平成16年からは「若者自立・挑戦プラン」に基づく具体的な政府施策が厚生労働省、経済産業省、文部科学省により省庁横断的に展開されている。ヨーロッパの先例に照らすまでもなく、こうした施策に劇的な即効を期待するのではなく、息の長い、地道な取り組みと、状況の改善への継続的な挑戦が、教育界、産業界、行政、さらに地域社会や市民レベルそれぞれに求められる。
 若者自立・挑戦プラン三年の節目を機に、(財)地球産業文化研究所は、若者の就労・雇用の現下の状況を検証、改めて政策課題を明らかにしそれらへの対応策を提言として導くことを目指し、日本自転車振興会の助成を受けて、本研究をスタートさせた。
 本テーマは前述の如く、学校教育をはじめ、労働、産業構造、企業の人材戦略、或いは地域コミュニティなど、極めて広範な分野に関わることから、研究を進めるにあたっては高梨昌・信州大学名誉教授に委員長をお引き受け頂き、各分野の専門家諸氏ご参加の下、2年間、研究委員会にて多角的な議論を頂くこととした。
 初年度となる本年は主として若年層のキャリア教育・能力開発を中心に現状の確認と課題のあぶり出しを行うにとどめ、その解決に向けた本格的な議論、具体的な対策提案のとりまとめは来年度に行なうこととした。
 本報告書は、問題の所在とその対応への基本的なスタンスを委員長に執筆頂き、背景、関連状況を参考資料として所収した、いわば導入編である。(平成18年度報告書 はじめに より)



研究委員会委員名簿
(敬称略,五十音順)
    氏   名 所属・役職(平成19年3月現在) 
  委員長 高梨 昌 信州大学名誉教授
  委  員 井戸 和男 天理大学人間学部教授
  鹿嶋研之助 千葉商科大学商経学部教授
  北浦 正行 (財)社会経済生産性本部事務局次長
  工藤 啓 (特)「育て上げ」ネット理事長
  小杉 礼子 (独)労働政策研究・研修機構人材育成研究担当統括研究員
  佐野 哲 法政大学経営学部教授
  森 まり子 東京商工会議所産業政策部労働・福祉担当課長
  八幡 成美 法政大学キャリアデザイン学部教授
  結城 至弘 (財)社会経済生産性本部社会労働部担当課長・主任研究員
  輪島 忍 (社)日本経済団体連合会労政第1本部雇用管理グループ長



   
報告書目次
<> はじめに
<> 研究委員会名簿
  <> 本編 総論「若年層への雇用政策立案にあたって考慮すべき論点
<>     −フリーター,ニートの存在と行動様式を踏まえて−」
<> 研究委員会設置の目的と検討項目
<> 「世代間交流による若年者のキャリアアップと社会的活動に関する調査(委託調査要約)」
<> 研究委員会活動記録
<> 資料編 (1)若者自立・挑戦プラン
<> (2)平成19年度施策計画
<> (3)ILO報告「若年者雇用の国際動向」(概要)
<> (4)OECD統計データ
 

(文責 研究委員会事務局)