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ニュースレター
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2007年 3号
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Report | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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本研究委員会は地球温暖化問題の長期的な国際枠組みの検討を目的とし設置された。革新的エネルギー技術の開発・普及に焦点を当て検討を進めた。山口光恒委員長(東京大学客員教授)のもと会合を4回開催し、毎回委員もしくは外部講師に講演をしていただき、活発な議論が行われた。オブザーバーとして政策立案・国際交渉の当事者である経済産業省にも参加していただいた。 当調査研究の問題認識は以下のとおりである;温暖化対策の究極的な目標について、具体的なレベルを世界的に合意することは不可能である。しかしいかなる濃度レベルでの安定化にも大幅な温室効果ガス排出の削減が必要である。そのためには技術革新が必要で、将来の国際枠組みはそのような技術革新を効果的に促すものでなくてはならない。 当調査研究では、モデル分析をもとに低炭素社会に必要なエネルギー関連技術とその必要規模を把握し、そして必要な技術の可能性を実現する国際枠組みのあり方を議論した。 本調査研究の検討結果の要点は以下である。 ・温室効果ガス濃度の安定化を効率的に達成するには幅広い技術オプションが必要である: 統合評価モデルの分析によると、所与の濃度制約、エネルギー需要制約のもと最適な(費用最小の)エネルギーシステムを確立するには、今後省エネ、低炭素エネルギー源への転換、炭素隔離貯留技術それぞれの大幅な普及が求められる。 ・ただし、個別技術について克服すべき技術的課題は多い: モデル分析では技術オプションのそれぞれにつき長期にわたって、コスト低下や効率性向上を外生的に仮定しているが、それが技術面・経済面において現実的であるかは不確実な場合もある。 ・将来必要となるエネルギー関連投資は莫大であるが、低炭素社会に向けて長期的なビジョンを持つことによって必要とされる投資額は大幅に削減できる: 増え続ける世界のエネルギー需要に応えるには2030年までに20兆ドルという莫大な投資が必要とされる。2100年までの長期で見ると持続可能型の社会において投資額が最も少なくすむ。したがって、どのような経済・社会を選択するかによって投資額は莫大な差となるため政府は長期的なビジョンを持つことが重要である。 ・エネルギーは製品の特性ではなく価格ベースの競争となるため、他分野の技術と比べて技術革新が進みにくい: 習熟によって技術の限界生産性が向上し、経済が成長し更に技術が習熟する。このように技術革新はスパイラル的なダイナミズムで発展していくことは可能であるが、エネルギー分野では、イノベーションが起こりにくい。加えて、発電所などエネルギー関連インフラの寿命は40-50年と長いため、革新的技術が市場に到達するまで長い時間を必要とする。 ・革新的エネルギー技術の開発には政府によるR&D投資が必要である: 不確実性が高く規模の大きいエネルギーR&Dに投資することはリスクが高すぎること、またR&Dの成果は必ずしも独占できないことから、民間によるR&D投資だけでは社会的に必要なレベルに到達しない。政府による大規模なエネルギーR&D投資が必要である。 ・現在の京都議定書のような、アメリカ以外の先進国のみ国別削減目標を負う枠組みよりも、アジア太平洋パートナーシップ(APP)のような参加国数が少なくても大排出国が行動にコミットする枠組みの方が効果的、効率的な排出量削減を達成しうる: モデル分析によると、APPの枠組みは6カ国のみであっても削減ポテンシャルの多い国を含むため、現行の京都議定書よりも費用効果的な排出削減が可能だろう。 ・技術習熟を考慮すると、京都議定書のような早期の数値目標よりも、長期的な目標の方が技術変化を誘発し低コストで排出削減目標の達成を実現しうる: APPのようなボトムアップの国際枠組みとともに、トップダウンの枠組みとして2050年といった長期の目標を掲げることによって、将来の技術進展のポテンシャルを重視した技術戦略をとりやすくなり、低コストで排出削減が達成できるだろう。 ・今後の研究課題として、我が国が掲げるべき長期目標の検討が挙げられる: 当調査研究では技術オプションの必要とする普及規模と投資規模、それらの可能性と限界を把握し、将来枠組みのあり方としてボトムアップ型や長期目標を議論した。今後の課題として、我が国の掲げるべき世界規模及び国内の長期目標の具体的な検討が挙げられる。
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