1994年7号

IPCC第2作業部会代表執筆者会議開催

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)では、現在、第二次影響評価報告書の執筆作業に取り組んでいるが、このたび同第2作業部会の代表執筆者(LA:Lead Author)会議が開催された。

◇日 時 1994年6月5日(月)~10日(金)
◇場 所 ワシントンDC・ルネッサンスホテル
◇参加者 B.ボーリンIPCC議長、R.ワトソン、M.ジニョウェラIPCC第2作業部会両共     同議長、各サブグループ共同議長、各執筆チーム代表執筆者など129名
     日本からは、通商産業省横江信義大臣官房審議官(サブグループA共同議長)、東京大学工学部石谷久教授、東京農工大学工学部柏木孝夫教授、茨城大学工学部三村信男助教授、国立環境研究所西岡秀三統括研究管理官、同原沢英夫研究管理官、通 商産業省地球環境対策室高倉秀和国際係長、地球産業文化研究所課長津坂秩也が参加。

◇概 要

 第2作業部会は、第二次影響評価報告書において、気候変動の影響・対応策・緩和策について27の執筆チームにわかれて執筆を行っているが、現在、第0次原稿(素原稿)の執筆が終わったところである。

 今回の会合は、各チーム間で第0次原稿の読み合わせを行い、相互のオーバーラップや欠如、書き方などについて相互チェックおよび意見交換を行い、レポートの執筆レベルを合わせるとともに、第2作業部会の第二次影響評価報告書全体について、代表執筆者をはじめとする参加者を認識を高めることを目的として開催された。

 同会議は、昨年9月にジュネーブで開催されて以来二度目であるが、前回は、各章項目の確認と代表執筆者の選任が主な議題で、各代表執筆者も調査執筆前ということもあって漠然とした話が多かったが、今回は素原稿の執筆後ということで、かなり詳細にわたってつっこんだ意見交換が行われた。

 また、毎朝会合に先立ち7時30分から、第2作業部会のビューロー会議(両共同議長、各サブグループの共同議長で構成)が開催され、会合のすすめかた、第二次影響評価報告書の今後の執筆スケジュールの確認、第1次原稿のレヴュー行いかたの選任などについて、仔細な調整が行われた。

 本会議の意見交換を踏まえ、各チームは7月末にむけて、有識者レヴユーをうけるための第1次原稿の完成に取り組むこととなった。

 第2作業部会の第二次影響評価報告書の目次ならびに今後の執筆スケジュールは以下のとおり。

IPCC第2作業部会第二次影響評価報告書構成

I.序論

II.影響ならびに適応策の評価

 A 生態、気候、自然地理的システム
  1.森林
  2.草原、牧草地
  3.砂漠
  4.山岳地域
  5.湿地
  6.霊氷園と永久凍土
  7.海洋、湖沼
  8.沿岸地方と小島群
  9.淡水系と水循環
 B 社会経済システム
  1/2/3. エネルギー供給、産業、運輸
  4.人間居住
  5.農業
  6.淡水供給と水質
  7.林業
  8.漁業
  9.金融、保険
 C 健康

III.緩和策の評価

 A エネルギー供給
 B 産業
 C 運輸
 D 人間居住
 E 農業
 F 森林の管理
 G 横断的事項

IV.方法論の概要

 A 影響ならびに適応策を評価すめための方法論
 B 緩和策を評価するための方法論

V.緩和策の目録の概要

第二次影響評価報告書執筆スケジュール(抜粋)
1993年9月 各章の項目確認ならびに代表執筆者選任
1994年4月 第0次原稿完成
   6月 代表執筆者会議(執筆調整)
   7月 第1次原稿完成
   10月 有識者レヴュー結果集約
   12月 第2次原稿完成
1995年2月 集合原稿案完成→政府等レヴューへ
   4月 政府等レヴュー結果集約
   6月 最終原稿案完成
   7月 第2作業部会総会における審議
   9月 IPCC総会における審議

 

 

▲先頭へ