6月28日~30日にかけて、四川省発展セミナーが開催された。主催は中国の国家経済体制改革委員会、国務院発展センター、四川省政府及び日本の国際研修交流協会、弊研究所である。このセミナーは、環境保護を踏まえた中国内陸部の経済発展及び技術交流の促進を、日中にて図ることを目的としている。
セミナーは基調講演の後の参加者全体会議、各部門別 会議を通して積極的な意見交換が行われた。以下、基調講演から内容を紹介する。
基調講演
蕭秧Xiao Yang 四川省省長
このセミナー目的は四川省を世界に紹介し、四川省の経済発展や対外開放を加速するための戦略、手段を探求し、合弁・合作のプロジェクトを生み、より高い次元のレベルで、国際協力を促進することである。
本セミナーの中心となる話題は1)四川省経済発展の現状と傾向、国際協力の重点領域、2)四川省を国際協力の舞台に参加させ得る道程、3)国際協力のための四川省の環境条件、保証条件等である。四川省で、このように重要なハイレベルの国際セミナーを開催するのは初めてである。
平和と発展が今世界の二大潮流である。過去10年間、中国は前例のないスピードで経済発展を成し遂げた。対外開放以前のプロセスに於ける、業績や経験にも拘らず、四川省は大きな内陸の省であるため、他の省や地方と比べそのペースは遅く、その活動領域は限られている。こうした状況から、できるだけ速やかに他の省に追い付こうと決意したのだ。 将来、四川省は中国投資に於ける、最も魅力的な省になるだろう。更に、中国西部では最も早い経済成長を遂げる省となり、多様な強みを持った省になるだろう。
基調講演
江田 憲司 団長(通商産業省経済協力調整室長)
中国は現在社会主義市場経済のもと、沿海諸省を中心に発展している。その牽引力は外資導入である。今、諸外国が熱い視線を向けている。
内陸部と沿海諸省との格差是正は中国の安定にとって是非とも必要だ。
如何にそれを行うかが、このセミナーの趣旨であろう。しかしながら、日本の関心は未だ低く、四川省の情報量 も少ない。従って、このセミナーは我々にとっても時宜を得たもので、日本の内陸部への関心を高める契機になるだろう。
日本国政府は中国の経済発展、安定は世界の関心の的であり、中国への支援は日本にとって重要な課題である、と考えている。円借款、民間の投資産業協力、技術支援が望まれる。
日本の対中経済協力は3つの基本的考え方がある。
1)内陸部、農業開発、2)石炭等エネルギー、3)環境保護
日本国政府は環境対策の協力を進めたい、と考えている。環境対策それ自体生産性向上に結び付かないが、将来の危険回避であり、省エネ設備なら省コストにつながる。
最後に、3点提案したい。
1.輸送インフラを中長期的に行うこと。
豊富な資源を活かし、外資導入を図り、輸出経路の鍵となるからだ。
2.農業の振興、農業所得の向上と郷鎮企業の育成
まず、付加価値の高い分野に進むべきだ。沿海部の技術者招へいや設備導入も考えてもよいのではないか。日本人技術者の派遣や教育も考慮されるべきだろう。
3.重化学工業の促進と軍民転換
四川省の国防技術は中国一だ。これを活かさない手はない。TV、VTR、自動車、家電等の産業発展戦略を練るべきだ。四川省がその優位
性を活かせば、必ずや大きな発展を遂げるだろう。