1994年11号

IPCC第3作業部会代表執筆者会議開催

 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)では、現在、第二次評価報告書の執筆作業に取り組んでいるが、このたび同第3作業部会の代表執筆者(LA:Lead Author)会議が開催された。

◇日 時 1994年9月8日(木)~10日(土)

◇場 所 ジュネーブ・WMO(世界気象機構)会議室

◇参加者

B.ボーリンIPCC議長、J.ブルース、H.リーIPCC第3作業部会両共同議長、R.オディンゴ同共同副議長、N.スンダララーマンIPCC事務局長、各執筆チーム代表執筆者など計約45名。日本からは、天野明弘神戸大学経営学部教授、黒田昌裕慶應義塾大学商学部長、(財)地球産業文化研究所課長津坂秩也が出席。

◇議 題

(1)ポリシーメーカーズ・サマリーの執筆について
(2)各章間の重複と乖離について
(3)重複と乖離に関する執筆チーム間の調整について
(4)重複と乖離に対する各執筆チームの対応について
(5)レポートならびに各章の構成の見直しについて
(6)今後の作業行程について

◇概 要

 第3作業部会は、第二次評価報告書において、気候変動の社会経済影響と政策のあり方ならびに温室効果 ガス排出シナリオなどを担当しており、10の執筆チームにわかれて執筆を行っている。

 この内、気候シナリオについては、来年3月に行われる第1回気候変動枠組条約締約国会議(COPI)に報告されることとなっており、現在、有識者ならびに各国政府のレヴューを終えて、9月末の第3作業部会全体会議で承認され、11月中旬のIPCC全体会議で承認される予定となっている。

 その他の気候変動の社会経済影響と政策のあり方については、各執筆チームが分担して独自に書き上げた第1次原稿の案が完成したところで、今回、各執筆チーム間で原稿の相互チェックを行い、各章間の重複と乖離などについて意見交換を行い有識者レヴューに向けて第1次原稿を完成させることを目的として開催された。

 今回の会議では、単に“重複と乖離”についての調整に終わることなく、“平等性”などの共通 項目に関する代表執筆者間での意見交換など報告書をより充実した内容にするための会議が精力的に行われた。

 本会議の意見交換の結果 を踏まえ、各執筆チームは9月末にむけて第1次原稿の完成に取り組み、10月中旬からの専門家によるレヴューに備えることとなった。

 今回見直しとなった第3作業部会第二次評価報告書の構成ならびに今後の作業工程は以下のとおり。

◇IPCC第3作業部会第二次評価報告書の構成

・序論
・政策立案者向け概要
・第二次評価報告書

I.評価の範囲

II.気候変動の影響、適応および緩和の社会経済
1.不確実性のもとでの方針決定
2.超長期的公平性と社会的考察
3.長期的公平性とディスカウントレート
4.気候変動のコスト分析の適切さ
5.気候変動の社会コスト
6.対応策オプションの総合的評価
7.緩和コスト主要決定要因
8.緩和コストの概算
9.政策的手段

III.排出シナリオ

◇第3作業部会第二次評価報告書執筆スケジュール

 1993年9月 各章の項目確認ならびに代表執筆者選任
 1994年8月 第1次原稿案完成
    9月 第1次原稿完成
    11月 有識者レヴュー結果集約
    12月 第2次原稿完成
 1995年1月 集合原稿案完成→政府等レヴューへ
    3月 政府等レヴュー結果集約
    4月 最終原稿案完成
    6月 第3作業部会総会における審議
    9月 IPCC総会における審議

 

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