1.レスポンシブル・ケアとは
レスポンシブル・ケア(以下RC)とは、化学物質の製造取扱業者が、化学物質の開発・製造・流通
・使用・最終消費・廃棄の全行程にわたって、環境保護、保安防災、労働安全衛生、化学品安全の全てにつき、継続的な改善と発展を目指すことを経営者が宣誓・実施し、かつその成果
を社会に公表する自主管理活動のことである。RCは、PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Action)で進められ、その計画と成果
については日本レスポンシブル・ケア協議会を通じて公表される。
2.RCのための社内体制
(1) RC実施体制
RC活動のために、下図のような体制を組んでいる。RC委員会が社長直結で組織され、環境安全担当役員が総括責任者、各部門長がRC部門責任者となり、さらに実行部隊として部門管理者が選任される。このように全社横断した組織でRCを推進している。
(2) 監査体制
RCの重要な部分の一つは評価にあるが、評価体制として下図のような監査システムを構築している。RCの管理の三分野、環境、安全、品質保証で内部監査を行っている。また第三者によるチェックとして、品質に関してはISO9000の外部監査、安全に関しては自主保安認定審査を既に導入しており、環境に関してはISO14001を取得するため現在準備を進めている。さらに各事業所ごとの監査を積み重ね、全体としてRC監査を実施し、改善すべき点を明かにし経営方針に反映させている。
3.RC活動状況
具体的なRCの活動は以下の通り。自主保安認定事業者制度による運転時検査認定の推進、プラントの定量
的安全性評価の推進、事故・ヒヤリハット事例の分析等によって安全確保の運動を実施している。また法令・条例・地域協定・業界自主基準の遵守はもとより、製造プロセス・設備の改善および適正な運転によって環境保全に努めている。地球環境問題に対しては、省エネルギー・省資源の推進、オゾン層破壊の原因となるフロン等の製造および使用の中止・削減を行っている。そしてプロダクトスチュワードシップとして、環境・安全に配慮した製品設計および製品安全データシートの整備により、ユーザー等に安全性に関する正確な情報を提供している。また環境保全型の製品・技術の開発に取り組むとともに、国際環境技術移転センターの活動支援を通
じ途上国への協力も行っている。
4.RCの重点目標
RC活動の重点目標として、環境保全に関しては大気汚染物質の排出量
削減、保安防災についてはゼロ災害の達成、そして化学品安全に関しては、既に完了した製品安全データシート整備に続く原料・中間品・廃棄物の安全データシートの整備が挙げられる。
5.RC活動の課題
今後解決しなければならない課題として、地球環境問題、未規制物質による大気汚染そして有害化学物質による健康被害がある。これらをRC活動を通
じて解決し、持続可能な開発を達成するため、当社も日本レスポンシブル・ケア協議会の一員としてRCを推進していくので、皆様方のRC活動への協力をお願いしたい。
(本稿は6月2日の第29回地球環境問題懇談会で行われた、東ソー株式会社 横山泰一RC委員会事務局長の講演を事務局でまとめたものです。)