本研究委員会のテーマは以下の2つである。 ・温室効果ガス排出取引における“排出権(許可証)”の企業会計上の処理方法の検討 ・排出主体の温室効果ガス排出量および削減量の会計的手法を用いた認証可能性の検討 |
1.背景・目的 |
97年12月に採択された京都議定書においては、先進国は自国の温室効果
ガス排出目標を達 成するために、排出取引、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)を利用すること
ができることが記載されている。これらの3つのシステムは“京都メカニズム”といわれ、排
出削減の経済効率性を高めるために有効な手段となり得る。
環境汚染物質に対する排出(権利/許可証)取引に関しては、米国においてSO2を対象とし
た取引が93年より行なわれ、取引面でも環境面でも実績をあげている。こういったことから、
北米では温室効果ガスに対しても取り引きを開始している例が出てきている。このような排出
取引においては、排出権を産出するプロジェクトに対する検証を行なう会計監査法人が出てき
ている。
一方、日本においては、近年環境報告書を発行し、さらにその内容について会計監査法人に
よる検証を受ける企業が増加している。環境報告書においては、自社の活動による温室効果
ガ ス排出量および削減量が内容の1部として記載されているものも多いため、そのような場合に
は実質上、会計監査法人が独自の方法で企業の温室効果ガス排出量についても検証業務を行な
っていると考えることができる。
日本における温室効果ガス削減対策は、98年6月に策定された“地球温暖化対策推進大綱”に
基づいて行なわれているが、その後の状況の変化を踏まえ、現在、新たな対策が通
産省(現経 産省)、環境庁で検討されている。現行の対策を継続する場合にも、新しい対策を導入する場合
にも、対象となる排出主体からの温室効果ガス排出量や対策による効果(削減量
)を検証する ことは、対策の実効性を高めるための有効な手段となると考えられる。従って、本研究委員会
では、会計監査法人による現行のシステムを利用して、執行費用が低い認証制度が可能である
かについての検討を行なう。また、温室効果ガスの排出取引が行なわれた場合、売買された排
出権(許可証)の企業会計上の処理についての検討も行なう。
なお、本研究委員会は(社)公認会計士協会の協力を得て、行なわれるものである。
2.研究方法(予定) |
(1) | 排出権に関する研究 |
・ | 排出権(ないし削減クレジット)の会計上の扱いについての研究 |
(2) | 温室効果ガスモニタリング・排出量(削減量 )認証に関する研究 |
・ | 会計および監査制度を参考したモニタリング・認証に関する制度設計研究 |
・ | モニタリング、認証方法の共有化に関する研究 |
3.委員会構成(敬称略、五十音順) |
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4.スケジュール |
< 第1回 > |
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日 時 : | 12月26日(火)10:00~12:00 | ||||
議 題 : | 1)委員ご紹介 2)最近の温暖化をめぐる政策動向 工藤委員 3)排出削減、第3者認証における会計監査法人の動向 井上委員長 4)今後の進め方事務局 |
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目 的: |
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< 第2回 > |
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日 時 : | 1月26日(金)13:30~16:30 | ||||
議 題 : | 1)東京工業品取引所における取引の実態および排出権に関する問題意識(仮題) 小野里委員 2)米国におけるSO2、GHGs取引の実態(仮題) 興銀フィナンシャルテクノロジー シニアエンジニア 浜岡 泰介氏 3)京都議定書と排出権(仮題) IGES/GISPRI 上席/主任研究員 松尾 直樹 4)排出権を企業会計で処理する上での主要論点に関する議論 |
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目 的: |
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< 第3回 > |
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日 時 : | [1] 2月15日(木)、[2] その他2月15日~20日あたり、約2時間 | ||
議 題 : | 1)排出権の企業会計処理-1 委員(未定) 2)排出権の企業会計処理-2 委員(未定) |
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目 的: |
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< 第4回 > |
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日 時 : | [1] 3月9日(金)、[2] その他3月9日~15日あたり、約2時間 | ||||||
議 題 : | 1)排出権の企業会計処理-3 委員(未定) 2)排出・削減の検証に関する問題提起(仮題) 井上委員長 3.とりまとめ 黒川顧 |
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目 的: |
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(委員会事務局 纐纈三佳子)
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