2001年5号
「少子・高齢化社会における日本の選択 ~教育、福祉と経済の戦略」研究委員会
京都大学経済研究所の西村和雄教授を委員長として、標記研究委員会を新設し、去る6月1日に第1回委員会を開催した。
これまで日本を支えてきたシステムが、教育、金融、技術、財政、政治を始めとする様々な分野で行き詰まりを見せている。そうした中、21世紀を迎えて、今後の我が国の教育や経済のあり方を論ずるときに、急激に進行する少子・高齢化社会の過渡期を具体的にどのような政策で対応するべきかの問題に直面している。
国立社会保障・人口問題研究所の低位推計によると、日本の総人口は2005年にピークを迎えた後に人口は減少に転じるが、総人口に占める高齢人口の比率は増加し続ける。このような少子・高齢化社会の到来は、若年労働力人口の減少、経済成長率の低下および社会保障における現役世代の負担の増大など深刻な影響を及ぼすことが懸念されている。
これまでにも、少子・高齢化社会をテーマとした多くの研究やプロジェクトが行われてきたものの、特定の狭い分野の問題に限定した研究や、行き着く所の少子化社会がどのようなものであるかといった議論に留まっているものがほとんどである。
当委員会は、こうした問題意識のもと、より広いマクロ的な見地から、深刻な少子・高齢化社会が到来する以前の段階である現在の「過渡期」を、どのような具体的な施策によって安全に乗り切ることができるかについて、総合的に議論するとともに理論的な肉付けを行い、21世紀に向けた効果的な提言を行うことを目指している。
具体的な調査研究項目としては、以下を予定している。
・教育サービスの需給ギャップ、福祉制度の現状と、行政と企業、家庭(個人)のそれぞれが今後果たすべき役割
・少子高齢化がもたらす需要の変化、低成長時代・労働力人口減少の下での女性・高齢者活用等に対する企業の対応方策
・活力ある、持続可能な経済・社会システム構築の方策
当委員会は財政学、労働経済、社会学、医療、社会福祉、統計の各分野の専門家からなる以下の委員(敬称略)よって構成している。月1回を目途として今年度中に7回程度委員会を開催し、また、外部講師招聘等により、さらなる情報収集および意見交換を実施する予定である。そして、年度末をめどに報告書をとりまとめる予定である。
委員長: |
西村 和雄 |
(京都大学経済研究所教授) |
委 員: |
池本 美香 |
((株)日本総合研究所 調査部 主任研究員) |
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牛丸 聡 |
(早稲田大学政治経済学部 教授) |
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小塩 隆士 |
(東京学芸大学教育学部 助教授) |
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倉元 直樹 |
(東北大学アドミッションセンター 助教授) |
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筒井 孝子 |
(国立公衆衛生院 公衆衛生行政学部 主任研究官) |
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永瀬 伸子 |
(お茶の水女子大学大学院人間文化研究科 助教授) |
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八木 匡 |
(同志社大学経済学部 教授) |
また、これまでの開催状況は以下のとおり。
第1回 6月1日
テーマ:女性の就業と少子化
講 師:永瀬 伸子
(お茶の水女子大学大学院人間文化研究科 助教授)
第2回 7月13日
テーマ:少子化と児童福祉政策
講 師:松原 康雄
(明治学院大学社会学部 教授)
第3回 8月31日
テーマ:少子化の人口学:少子化の見通しと影響
講 師:高橋 重郷
(国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部長)
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