開発途上国に温室効果ガス削減義務を課す問題について、先進諸国は過去の気候変動枠組み条約締約国会議で毎回議題として取り上げようとしたが、「温暖化を招いたのは先進国の責任。原因を作りだした諸国が削減を率先垂範すべきだ」とする途上国の反発で、門前払いになっている。途上国全体の総排出量は2010年頃には先進国全体を上回ると見られており、地球規模で温暖化防止の実効性を上げるには、途上国の削減への参加は避けて通れない。また京都議定書は、途上国の削減義務には全く触れておらず、米国が議定書から離脱する理由ともなった。 昨年度の委員会では、CDM、公的資金、途上国参加、炭素クレジットのCDM効果、中国の参加、シンク、温暖化問題への経済学的考察および環境保護の経済誘因の諸課題で調査を行い、途上国が京都メカニズムに参加することの潜在的メリットを実証した。 また、地球温暖化問題の本質は地球環境という公共財のフリーライダーの問題である限り、途上国の自発的な努力や判断を待つのでは解決に成り得ず、温暖化ガス削減にコミットすることが途上国にとっても有利になるような環境を作り出すことが肝要である。
途上国が京都メカニズムに参加することのメリットを実現させる方策について解明を計り、途上国と先進国との協調による地球温暖化防止戦略を調査研究する。 成果イメージとしては、途上国がアクセプトし、先進国としても実効可能なスキームの提案を狙っている。 具体的には、COP7結果を反映させたCDM活用スキームを検討すると共に、可能であれば、その他スキームづくりを行い、第一約束期間での実効ある姿を検討する。更に、第二約束期間からの途上国参加を可能とするための論点の整理を行う。
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