2005年7月7・8日、ブリュッセルのエグモント宮にて今回で7回目となる日・EUビジネス・ダイアローグ・ラウンドテーブル(以下BDRT)が開催された。日本側議長は小林陽太郎氏(富士ゼロックス取締役会長)、EU側議長はダヴィニョン子爵(スエズ・トラクトベル)で、共同議長以外にEU側から9名のプリンシパルメンバー、日本側から13名(うち2名は代理出席)が出席した。BDRTは日本とEUのビジネスリーダーが様々な分野において提案をし、それを「提言」として両政府に提出することを主な目的とする。GISPRIからは、福川伸次顧問が電通顧問として日本側プリンシパルメンバーで出席し、信岡洋子(研究員)が福川顧問のサポートとして出席した。
初日は一般討議として日・EUのメンバーから6つのプレゼンテーションが行われた。トピックは「自由貿易と経済連携」、「EU憲法と今後の展望」、「エネルギー問題」、「中国の問題(人民元、特許、エネルギー消費の急増など)」であった。どれも今まさに熱く議論されているトピックで、プレゼンテーション後の質疑応答でも多くの意見交換がなされた。
その後、6つのワーキングパーティー(WP)の具体的な提言内容に関するプレゼンテーションが行われた。WPのテーマは以下の通りである:
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WP1: |
貿易と投資 |
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WP2: |
会計と税制問題 |
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WP3: |
ICT(情報通信技術) |
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WP4: |
WTO |
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WP5: |
ライフサイエンスとバイオテクノロジー |
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WP6: |
持続可能な発展 |
各WPとも事前に日・EU間で入念な調整をしていたので、提言内容について大きな議論はなされなかった。福川顧問はWP4(WTO)の日本側リーダーとしてプレゼンテーションを行い、農産品、工業製品、サービスといった交渉分野などについての具体的な提案やBDRTとしての考えを示すとともに、今年12月に香港で開催されるWTO閣僚会議でのドーハ開発ラウンド交渉で意義ある成果を出すため、EUと日本は緊密に連携するべきことを強調した。
2日目は日本政府及び欧州委員会代表を迎えての官民合同セッションであった。産業界と政府に対話の機会を与えるこの合同セッションはBDRTの大きな特長でもある。日本政府からは山本明彦経済産業大臣政務官、松井浩総務審議官、小野寺五典外務大臣政務官(発表順)、欧州委員会からはフェアホイゲン欧州委員会副委員長(企業産業担当)、レディング欧州委員会委員(情報化社会・メディア担当)、フレーザー氏(マンデルソン委員官房)が出席し、日・EUの経済関係、IT分野の近年の動き、自由貿易などについてスピーチし、その後質疑応答・意見交換が行われた。
また、EU側議長のダヴィニョン子爵は今回で辞任し、ヤコブス男爵(UCB)が新議長に就任した。同日午後にはEU側新旧議長と小林日本側議長が記者会見に臨み、前日議論し採択したプレスリリース、提言の概要、BDRTのミッションステイトメントを発表した。なお、次回のBDRT会合は2006年初夏に東京で開催される。
BDRTの詳細は事務局の(財)日欧産業協力センターブラッセル事務所のインターネットホームページを参照。
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http://www.eujapan.com/europe/roundtable.html
同センター東京事務所のホームページも随時アップデート予定。
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http://www.eu-japan.eu/ja