2008年2号

安全と文化のシンポジウム」 開催報告

 平成19年度調査研究「社会文化の変化と企業経営の進化」を補足する委託事業として、2008年3月4日(火)明治大学リバティーホールにて、財団法人製品安全協会及びNPO法人品質安全機構の協力のもと、標記シンポジウムを開催したので、その概要を報告する。

 主催者を代表して、「社会文化と企業経営の進化」に関する調査委員会委員長であり、弊財団理事である日本大学大学院グローバル・ビジネス研究科教授の井出亜夫氏の開会挨拶につづき、明治大学理工学部長教授の向殿政男氏より「消費者力と企業経営のあり方」と題した基調講演がありました。



 向殿先生からは、健康証明書が無いように、絶対安全は存在しない。では安全とは何か、許容可能なリスクとはどのようなものかとの問題提起とその解を求めるキーワードとして消費者の製品やサービスの使用力、或は危険察知能力としての「消費者力」と企業トップのコミットメントが示されました。



 第2分のパネルディスカッションでは向殿先生にモデレーターをお願いし、企業の立場から松下電器産業㈱取締役の大鶴英嗣氏、報道の立場から日本経済新聞編集委員の小林明氏に、消費者の立場から社団法人消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任理事の辰巳菊子氏、専門家の立場から中央大学理工学部教授で「社会文化の変化と企業経営の進化」に関する研究委員会委員の宮村鐵夫氏にパネラーとしてご参加いただきました。
 パネルディスカッションでは、安全文化はいかに企業と消費者の間にあるギャップを埋めるかであり、製品の複雑化によりそのギャップが広がる中、企業やメディアの努力と課題、及び消費者力への期待につき議論が行われました。




 メディアの影響や消費者の力で、企業は情報を積極的に公表する方向にあり、このような環境の変化が持続すると、安全対応に積極的な企業に対する評価が高まり、徐々に消費者の考え方を変える力になると期待される。消費者力を向上させる為に情報はもちろん重要であるが、リスクに対する感性や創造力が大切であり、いいコミュニケーションができる情報の流し方と活用につき消費者と企業の議論の必要性などが提起された。
 フロアーからも3件の質問や意見表明があり、最後に(財)製品安全協会理事であり中央大学理工学部教授の宮村先生の閉会の挨拶で締めくくられた。

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