2008年4号
サラゴサ国際博覧会における愛・地球博理念継承事業の展開
2008年6月14日に3ヶ月間の会期で開幕したサラゴサ国際博覧会は、「水と持続可能な開発」をテーマに、すべての命の源である「水」と人間、社会との新しい関係を、持続可能な形で構築するための地球規模の取り組みの重要性を全世界に訴えることを目的としている。
このサラゴサ国際博覧会に、「テーマ性」、「メッセージ性」を重視した、愛・地球博の理念・成果をさまざまな形で継承させるべく当財団は、7月21日のJapan Day及びその前後に積極的に以下の3つの事業を展開した。
1.国際シンポジウムの開催
7月21日(月)17:00~19:30 博覧会会場内の水の論壇(ウォーター・トリビューン)パビリオンにおいて「気候変動と持続可能な水資源」をテーマに日本政府(経済産業省、JETRO)国連水関係2機関と共催し、NPO法人日本水フォーラムの特別協力を得て国際シンポジウムを開催した。
この国際シンポジウムにおいては、皇太子殿下から「水との共存-人々の知恵と工夫」と題して自ら撮影された写真を交えて45分を超える特別講演をいただいた。
この他、バート・メッツ 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会議長、ミューラー国連FAO局長の基調講演があり、ロケ・ヒスタウ サラゴサ国際博覧会公社総裁、竹村公太郎 日本水フォーラム事務局長、中本賢(俳優、環境教育実践家)を交えたパネルディスカッションも実施した。
国際シンポジウムのプログラムは、ここをクリック
基調講演するバート・メッツ気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会議長
パネルディスカッションの模様 左側より竹村公太郎氏、バート・メッツ氏、ロケ・ヒスタウ氏、中本賢氏
2.NPO・市民参加プログラムの実施
2007年1月24日、(財)2005年日本国際博覧会 中村事務総長とサラゴサ国際博覧会公社ブラスコ総局長との間で交された市民参加プログラムの実現に関する覚書(MOU)に基づき、万博史上初めて愛・地球博で生まれた新しい参加活動を継承するため、サラゴサ公社は、市民主導型パビリオン El faro(灯台)を会場内に建設した。
このパビリオンは、全世界のNPO等に開放され、その運営は、スペインのNPO法人 ECODES(代表 ビクトール氏)が行った。
当財団は、Japan Day(7月21日)を中心にその前後2週間(7月14日~27日)を愛知Weekとして確保し、展示場の一部(終日)、ワークショップ(17:00~20:00)、円形劇場(15:00~17:00)を活用し、様々なプログラムを展開した。前半(14日~20日)をNGOユニット、後半(21日~27日)を市民ユニットとし、スタッフ、関係者を含め総勢70名を超えるメンバーが愛知を中心に日本全国から結集し、サラゴサを訪問しこの事業に参加した。
この市民参加事業の主眼は、“対話と交流”であり、会場内で行った全ての催しが、来場者参加型をめざし、取り組んだ結果、El faroは、開幕以来、最高の入場者数をこの愛知Weekで記録した。
NPO・市民参加のプログラムは、ここをクリック
27日20:00~22:00のクロージングイベントでは、2週間の活動の成果を総括すると共に、ミュージカルチームも応援にかけつけ、盛況裡に終了した。
市民主導型パビリオン El faroの全景
会場内円形劇場の満員の観客
3.ミュージカルの上演
愛・地球博の公式マスコット「モリゾー&キッコロ」とサラゴサ博の公式マスコット「フルービー」が共演する子供向けミュージカル「Manana あした」を会場内バルコン・デ・ロス・ニーニョスで22日~24日の3日間で7回公演(当初予定6回がサラゴサ公社からの要望により1回追加された)し、合計2,600名を超える観客に楽しんでもらった。
ミュージカルのプログラムは、ここをクリック
このミュージカルは、作・演出・作詞 武田直樹、音響監督・作曲等 小坂明子、プロデューサー 野村篤(劇団飛行船)等のスタッフにより、“豊かな森と清らかな水を一緒に未来に”をテーマにスペイン語版で制作された。
22日10:45~の初回公演には、皇太子殿下がスペインの子供達約50名に囲まれてご観覧いただき、ミュージカル終了後、スペインの子供達、モリゾー、キッコロ、フルービーとの写真撮影をいただいた。
なお、子供達の動員にあたっては、アラゴン日本文化協会 藤村代表にご尽力をいただいた。
ミュージカルの模様
座席も足りないくらい満杯の観客