2009年1号
平成20年度 「成熟社会での起業を考える-エコ・ビジネスへの新たな挑戦-」研究委員会
背景
環境ビジネスを主体とするエコ・ビジネスは、900のビジネス・アイテム、4,000の拠点で事業が取り組まれている、との試算もあるように、広く産業領域全般で展開されている。さらに最近は市民生活の場・民生分野においても、新たなエコ・ビジネスの挑戦が始まり、今後の社会システムの変革、持続可能な社会構築の推進力としての期待がかけられる。
萌芽期にあるこうした民生(生活者)分野のエコ・ビジネスが、社会に受容され、新しい市場・産業分野の形成に向かうには、事業者、消費者はじめ市場を取り巻くさまざまな主体の新しい関わり方や、社会経済システム全体のなかでの位置づけを考慮した上での事業戦略が求められる。
研究の目的
地域社会、生活者空間におけるエコ・ビジネスの新たな動向を掴み、その実態を探るとともに、それらビジネスがこれからの社会経済システムへ如何なるインパクトを与えるのかを考察し、エコ・ビジネス振興の課題と方策を明らかにする。
研究内容
・民生分野のエコ・ビジネスの動向と可能性;とくにソフトサービスや新たな仕組みの提供などのカテゴリーでは、現在どのような先駆的なビジネスが生まれているのか、その背景には何があるのか、
・そうしたビジネスの展開でこれからの社会システムはどのようにイノベートされるのか、
・そうしたイノベーションが進むために、社会的な環境と法制面での整備課題は何か、
・エコ・ビジネス発展を促す要件と産官学地域等の役割とはどのようなものか、
などを先駆的事例から導く。
検討事例
すでに一定期間事業が展開され、社会のサブシステムとして受容され、イノベーションをもたらしつつある先駆的事例として、
(1)「えがおつなげて」が過疎山村・限界集落を活動領域として、企業,地域,行政,大学等と多様な連携をとりつつ進めている「都市=農村交流事業」
(2)「グリーンエネルギー青森」が市民風車事業を核として、地域の特色を活かしながら展開するさまざまな地域活性化と地域自立の取組み
(3)「ねおす」が北海道の自然資源を活用しながら人と自然の新しい関わり方・暮らし方を提案してゆくエコツーリズム活動
(4)「菜の花プロジェクトネットワーク」による菜の花搾油生産を出発点とする地域内資源循環システム構築への取組みと地域間のネットワーキング
(5)大地を守る会と(株)大地による農薬公害の完全追放と安全な農畜産物及び水産物の安定供給を通じて、生命と健康の保全、食生活と農業・畜産業・水産業の再創造を目指す取組みなどをとりあげ、それぞれの事業がどのような課題を克服して、成果につなげてゆくことができたのか、その要因を探る。
研究委員会名簿
(敬称略、五十音順)
|
氏 名 |
所属・役職 |
委員長 |
森川 高行 |
名古屋大学大学院環境学研究科教授 |
委 員 |
大森 亜紀 |
読売新聞東京本社生活情報部記者 |
委 員 |
亀山 秀雄 |
東京農工大学大学院技術経営研究科教授 |
委 員 |
剱持 千歩 |
名古屋大学大学院環境学研究科研究員 |
委 員 |
敷田 麻実 |
北海道大学観光学高等研究センター教授 |
委 員 |
永沢 映 |
コミュニティビジネス・サポートセンター代表理事 |
委 員 |
野田 直樹 |
東京商工会議所人材・能力開発部 研修センター調査役 |
委 員 |
服部篤子 |
CAC社会起業家研究ネットワーク代表 |
委 員 |
緑川芳樹 |
グリーンコンシューマー研究会代表 |
以上