2008年度より京都議定書第1約束期間がスタートし、我が国は2012年度末までの5年間平均で、温室効果ガス排出量を6%削減(1990年度比)すべく様々な取り組みを進めています。
さらに、京都議定書以降(2013年度以降)の次期国際枠組みについて、昨年12月にデンマーク・コペンハーゲンで開催された気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)において合意出来なかったものの、国際交渉を継続することになりました。このような状況下、先進各国が2020年の中期削減目標を公表し、我が国の鳩山首相も1990年比で25%削減という目標数値を打ち出したことから、今後は産業部門をはじめ、運輸・家庭・業務など全ての排出部門においてさらなる削減努力が求められることになります。
2020年の中期削減目標設定に当たり、多くの国は「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が2007年に公表した第4次評価報告書を参照していますが、IPCCが特定の削減シナリオを推奨しているとの誤解が生じている場合も見受けられます。IPCCは「誠実な仲介者(honest-broker)」のスタンスを前提に、公表された論文を審査して、複数のシナリオを提示するのみであり、現実の政策は全ての要因を総合的に判断した上で各国の政策決定者により為されるものですが、この点が十分認識されているとは言えません。
今後、2013-14年を目標に第5次評価報告書(AR5)の作成が進められるなかで、IPCCの報告書に対する産業界からの意見反映は極めて重要であり、IPCC自身も産業界へのアウトリーチ活動を重視しています。
特に、IPCC第3作業部会の国内事務局を務める弊所が、IPCCの学識経験者・専門家と産業界代表による意見交換の場を設定し、AR5の論点を一層深堀りすることにより、AR5に対する産業界からの意見反映が可能と考えられます。
ノーベル平和賞受賞後、その政治的影響力が顕著に増大したIPCCの報告書作成過程において、経済実態に即した現実的議論に基づいて調査研究が行われることを目指していくことが本委員会の趣旨です。
委員長: | 石谷 久 | 一般社団法人新エネルギー導入促進協議会 代表理事 |
委 員: | 小林 茂樹 | 株式会社豊田中央研究所 主席研究員 |
澤 昭裕 | 21世紀政策研究所 研究主幹 | |
杉山 大志 | 財団法人電力中央研究所 上席研究員 | |
関 成孝 | 塩ビ工業・環境協会 専務理事 | |
山地 憲治 | 東京大学 大学院工学系研究科教授 | |
岡崎 照夫 | 新日本製鐵株式会社 環境部部長 | |
影山 嘉宏 | 東京電力株式会社 環境部長 | |
笹之内 雅幸 | トヨタ自動車株式会社 CSR・環境部主査 | |
村松 英樹 | 三菱マテリアル株式会社 セメント事業カンパニー室長補佐 |