2011年1号

国連気候変動会合(メキシコ・カンクン)参加報告

 11月29日(月)から12月10日(金)にかけて、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第16回締約国会議(COP16)、京都議定書第6回締約国会合(CMP6)などが、メキシコ・カンクンで開催された。本会合の中心テーマは、先進国の排出削減、途上国の緩和行動と、資金・技術等の支援との間の「バランスの取れたパッケージ」について合意を得ることであった。当初は、京都議定書第一約束期間が終了する2013年以降の次期国際枠組みについて合意を得ることを目標としていた。しかしながら、今回の会合に至るまでに開催された事務レベルの交渉が進展しなかったため、会合の成果としては、次期国際枠組の基礎になり得る諸項目について決定することを目指した。

 前半の事務レベルの交渉(条約特別作業部会(AWG―LCA)、議定書特別作業部会(AWG―KP))では大きな進展は見られなかったが、各国の首脳・閣僚が参加した12月7~10日のハイレベル・セグメントをはじめ閉会直前まで協議を重ねた結果、「カンクン合意」と呼ばれる一連の25の合意文書が採択された。
 このうち次期国際枠組みについては、京都議定書第二約束期間を設定するのか、コペンハーゲン合意をもとにした新しい枠組みを目指すのか、実質的に次回会合に先送りする結果となった。京都議定書を批准した国からなるCMPでは、京都議定書第一及び第二約束期間の間に空白が生じないよう採択することを目指す一方、米国等京都議定書を批准していない国も含めたCOPでは、前回COP決定ではなく留意するに止まったコペンハーゲン合意を、正式な決定とした。このCOP決定では、先進国が提出した削減目標、途上国が実施する緩和行動について、国連事務局がまとめる文書に留意することとなり、先進国と途上国が一つの枠組みの中で気候変動の緩和に向けた努力を行なうことが明記された。
 日本政府は、「いかなる条件付けがなされようとも第二約束期間にはコミットしない」とのスタンスを貫きロシア、カナダなどとともに、途上国、第二約束期間に妥協的であったEUと主張が対立した。結果的としては、京都議定書延長に与しない締約国の立場を拘束しないことが、CMP決定の脚注として明記されることとなった。
 今回、京都議定書第ニ約束期間を設定するのか、米中を含む一つの枠組みを目指すのか決着がつかなかったこと、第一約束期間が2012年末で終了するという時間的な制約から、次回の年末の会合では今回以上の厳しい交渉が予想される。次回のCOP17、COP/MOP7など一連の会合は、2011年11月28日(月)から12月9日(金)、南アフリカ・ダーバンにおいて開催される予定である。

(参考)「カンクン合意」の主な内容
(1) CMP決定
<京都議定書上の先進国の削減目標>
①全附属書Ⅰ国の第二約束期間への参加を前提とはせず、第一約束期間と第二約束期間の間にギャップを設けないよう、可能な限り早くAWG―KPの作業を終えるべきこと等を規定
②コペンハーゲン合意に基づき、米国を含む先進国が提出した数値目標に関し、国連事務局がまとめた文章を「留意」
③日本、ロシアなど、京都議定書延長に与しない締約国の立場を拘束するものではないことを、脚注として明記
(2) COP決定
<先進国・途上国の削減目標・行動>
コペンハーゲン合意に基づき先進国が提出した目標、及び途上国が実施する緩和行動について事務局がまとめる文章を、留意
<その他の主要要素>
① 共有のビジョン
工業化以前に比べ気温上昇を2℃以内に抑えるとの観点からの大幅な削減の必要性を認識し、2050年までの世界規模の大幅削減及び早期のピークアウトに合意
② 適応
適応対策を強化するため、適応委員会の設立、最貧国向けの中長期の適応計画の策定等を含む、新たな「カンクン適応枠組み」の設立を決定
③ MRV(計測・報告・検証)
先進国及び途上国それぞれのMRVを正式に決定するとともに、各種ガイドラインの強化等に合意
④ 市場メカニズム
COP17で新しい市場メカニズムの構築の検討を決定
⑤ REDD+
対象範囲、段階的に活動を展開する考え方等の基本事項について決定
⑥ 資金
新たな基金(緑の気候基金)の設立及び同基金のデザインを検討する移行委員会(Transitional Committee)の設立を決定
⑦ 技術
技術メカニズム(技術執行委員会と気候技術センター)の設立を決定

 11月29日(月)から12月10日(金)にかけて、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第16回締約国会議(COP16)、京都議定書第6回締約国会合(CMP6)などが、メキシコ・カンクンで開催された。本会合の中心テーマは、先進国の排出削減、途上国の緩和行動と、資金・技術等の支援との間の「バランスの取れたパッケージ」について合意を得ることであった。当初は、京都議定書第一約束期間が終了する2013年以降の次期国際枠組みについて合意を得ることを目標としていた。しかしながら、今回の会合に至るまでに開催された事務レベルの交渉が進展しなかったため、会合の成果としては、次期国際枠組の基礎になり得る諸項目について決定することを目指した。

 前半の事務レベルの交渉(条約特別作業部会(AWG―LCA)、議定書特別作業部会(AWG―KP))では大きな進展は見られなかったが、各国の首脳・閣僚が参加した12月7~10日のハイレベル・セグメントをはじめ閉会直前まで協議を重ねた結果、「カンクン合意」と呼ばれる一連の25の合意文書が採択された。
 このうち次期国際枠組みについては、京都議定書第二約束期間を設定するのか、コペンハーゲン合意をもとにした新しい枠組みを目指すのか、実質的に次回会合に先送りする結果となった。京都議定書を批准した国からなるCMPでは、京都議定書第一及び第二約束期間の間に空白が生じないよう採択することを目指す一方、米国等京都議定書を批准していない国も含めたCOPでは、前回COP決定ではなく留意するに止まったコペンハーゲン合意を、正式な決定とした。このCOP決定では、先進国が提出した削減目標、途上国が実施する緩和行動について、国連事務局がまとめる文書に留意することとなり、先進国と途上国が一つの枠組みの中で気候変動の緩和に向けた努力を行なうことが明記された。
 日本政府は、「いかなる条件付けがなされようとも第二約束期間にはコミットしない」とのスタンスを貫きロシア、カナダなどとともに、途上国、第二約束期間に妥協的であったEUと主張が対立した。結果的としては、京都議定書延長に与しない締約国の立場を拘束しないことが、CMP決定の脚注として明記されることとなった。
 今回、京都議定書第ニ約束期間を設定するのか、米中を含む一つの枠組みを目指すのか決着がつかなかったこと、第一約束期間が2012年末で終了するという時間的な制約から、次回の年末の会合では今回以上の厳しい交渉が予想される。次回のCOP17、COP/MOP7など一連の会合は、2011年11月28日(月)から12月9日(金)、南アフリカ・ダーバンにおいて開催される予定である。

(参考)「カンクン合意」の主な内容
(1) CMP決定
<京都議定書上の先進国の削減目標>
①全附属書Ⅰ国の第二約束期間への参加を前提とはせず、第一約束期間と第二約束期間の間にギャップを設けないよう、可能な限り早くAWG―KPの作業を終えるべきこと等を規定
②コペンハーゲン合意に基づき、米国を含む先進国が提出した数値目標に関し、国連事務局がまとめた文章を「留意」
③日本、ロシアなど、京都議定書延長に与しない締約国の立場を拘束するものではないことを、脚注として明記
(2) COP決定
<先進国・途上国の削減目標・行動>
コペンハーゲン合意に基づき先進国が提出した目標、及び途上国が実施する緩和行動について事務局がまとめる文章を、留意
<その他の主要要素>
① 共有のビジョン
工業化以前に比べ気温上昇を2℃以内に抑えるとの観点からの大幅な削減の必要性を認識し、2050年までの世界規模の大幅削減及び早期のピークアウトに合意
② 適応
適応対策を強化するため、適応委員会の設立、最貧国向けの中長期の適応計画の策定等を含む、新たな「カンクン適応枠組み」の設立を決定
③ MRV(計測・報告・検証)
先進国及び途上国それぞれのMRVを正式に決定するとともに、各種ガイドラインの強化等に合意
④ 市場メカニズム
COP17で新しい市場メカニズムの構築の検討を決定
⑤ REDD+
対象範囲、段階的に活動を展開する考え方等の基本事項について決定
⑥ 資金
新たな基金(緑の気候基金)の設立及び同基金のデザインを検討する移行委員会(Transitional Committee)の設立を決定
⑦ 技術
技術メカニズム(技術執行委員会と気候技術センター)の設立を決定


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