1.第一次評価報告書 | 5.技術報告書 |
2.第二次評価報告書 | 6.特別報告書 |
3.第三次評価報告書 | 7.温室効果ガス インベントリープログラム |
4.第四次評価報告書 | 8.その他 |
1.第一次評価報告書(1988~1992)
IPCCは、下記の第I~IIIの各作業部会を組織し、1990年に「来世紀末までに全球平均気温が3℃程度,海面 が約65cm上昇する」こと等を織り込んだ「評価報告書」を発表した。同報告書は気候変動に関する知見を集大成・評価したものとして高い評価を受け、基本的な参考文献として政策立案者や科学者等に広く利用されている。
又IPCCは、1992年2月に国際連合気候変動枠組条約(UNFCCC:United Nations Framework
Convention on Climate Change)交渉に寄与するため、気候変動に関する最新の情報を収録した補足報告書を発表した。
2.第二次評価報告書(1992~1996)
第二次評価報告書は、第一次評価報告書以降における気候変動に関する最新の科学的、技術的及び社会経済学的評価を行い、1996年にジュネーブで行われる気候変動枠組条約第2回締約国会議(COP2)に提出するため、1992年11月の第8回全体会合においてその作成が決定された。そして、従来の第II・第III作業部会を統合して新第II作業部会とし、新たに第III作業部会を編成する組織改正が行われた。この改正の特徴としては以下の2点が挙げられる。
①従来どおり自然科学、社会科学両面からの評価を行うが、特に経済学的評価に重点をおくこととされた。 |
②先進国が独断で行っているのではないことを強調するため、各作業部会は従来の先進国議長方式から先進国・途上国の共同議長方式に運営が変更された。 |
組織改正後のIPCCの編成は以下のとおり。
・ | 第I作業部会:気候変動の科学的知見 |
・ | 第II作業部会:気候変動の自然と社会経済への影響及び適応策並びに緩和策 |
・ | 第III作業部会:気候変動の社会的影響と政策並びに温室効果 ガス排出シナリオ |
第二次評価報告書の一部は、INC(Intergovernmental Negotiating Committee for a FCCC:気候変動枠組条約交渉委員会)からの要請を受け、「特別報告書」(1994年特別報告書後述)として先行してまとめられ第10回全体会合での承認後1995年3~4月に開催されたCOP1(The
first Conference of the Parties:気候変動枠組条約第1回締約国会議)にて報告された。
第二次評価報告書は、各作業部会の報告書と、統合報告書(Synthesis Report) から構成されている。さらに、統合報告書は各作業部会の報告書から政策決定者向けにその要約をまとめたSPM
(Summary for Policymakers:政策立案者向け要約)と、その他独自の内容により構成されている。
第二次評価報告書の採択は、1995年の7~12月に開催された各作業部会の総会並びに1995年12月の第11回全体会合(ローマ)にて行われた。各作業部会総会においては、まずSPMが各行毎に審議され、採択(adopt)
された。各作業部会報告書については、SPMの採択後一括で審議され、SPMにおける修正を反映することを条件として全体会合にて承認(approve)
された。
又全体会合では、統合報告書の採択にむけて審議が行われた。当初、統合報告書は各作業部会のSPMに加え、UNFCCC(the United
Nations Framework Convention on Climate Change :気候変動枠組条約)第2条(目的)の運用に資する諸状況を総合的にまとめることとされていたが、各作業部会のSPMに含まれていない独自の表現は削除され、結果として各作業部会のSPMの総合版となった。
第二次評価報告書作成後の活動
IPCCは1995年12月に第二次評価報告書を採択し、1993年11月に始まった報告書作成に関連する一連の作業を終了した。他方、UNFCCCの発効(1994年3月)によりCOP
(The Conference of the Parties:締約国会議)が組織され、条約9・10条に基づき以下の2つの補助機関が発足した。
・ | SBI (the Subsidiary Body for Implementation:実施のための補助機関) |
・ | SBSTA (the Subsidiary Body for Scientific and Technological Advice: 科学的及び技術的な助言のための補助機関) |
①補助機関の要請に応えて、技術報告書(Technical Paper)、特別報告書(Special Report)を作成する。 |
②技術報告書は、気候変動枠組条約締約国が、特定の手段に関する国際的な科学的・技術的予測を必要としている場合に作成され、過去の評価報告書と過去の特別報告書に含まれている資料をベースにしたものの範囲内で執筆する。 |
③特別報告書は、過去の評価報告書でカバーしきれなかった部分について追加的に新規評価作業を行う。 |
④ボーリン議長の辞任に伴い、次期議長の選出を行う。 |
上記決定に基づき、1996年から1997年にかけて4つの技術報告書が作成された。この中で、1996年発表の技術報告「気候変動緩和の技術、政策、措置」は、1996年12月の第5回AGBM会合(Ad
Hoc Group on Berlin Mandate:ベルリンマンデートに関するアドホックグループ(2000年以降の温室効果 ガスの数量目標を検討する特別グループ))に提出された。本技術報告は、第二次評価報告書を基に気候変動の緩和策について、エネルギー供給、産業、交通
、農業等の分野別に整理するとともに、分野横断的な経済的手段として、炭素税や排出権取引等についても利点、課題を整理している。
又、特別報告書は補助機関会合等からの要請に基づき、いくつかの主題に関して作成されており、1994年の特別報告書に加えて、種々の特別報告書が作成済みあるいは作成中である。中でも吸収源(シンク)に関する特別報告書「土地利用、土地利用変化と林業」(LULUCF)は、特別な経緯を経て作成された。京都議定書の吸収源の項目はCOP3の終盤になってようやく合意されたため、議定書における吸収源関連の条文解釈が必ずしも一定しておらず、実施方法も不明確な点が多い。
そこで、1998年6月にボンで開催されたSBSTA8においてIPCCにLULUCFにおける吸収源に関する科学的検討が依頼され、その報告書を受けて2000年に予定されるCOP6で実施方法を議論することが決まった。IPCCでは、本テーマが政策に直接関連することから、ワトソン議長自らが、タスクフォースを組織し、本特別報告書を作成する運びとなった。この報告書は、2000年5月に行われた第16回全体会合(モントリオール)にて承認され、その後SBSTA12(ボン)直前に行われた非公式会合(同じくボン、2000年6月5日~10日)にて紹介された。
・ | 第I作業部会:気候変動の科学的側面からの評価 |
・ | 第II作業部会:気候変動の影響及び適応策の社会・経済的側面からの評価 |
・ | 第III作業部会:気候変動の緩和策の社会・経済的側面からの評価 |
①Cross-Cutting Issuesについて 1995年作成の第二次評価報告書では3つの作業部会を設定し、その分野毎に評価を行ったが、専門用語の統一等、各作業部会に共通する課題が調整されていなかった。この反省から第三次評価報告書では、各作業部会の共通の課題となる部分をCross-Cutting Issuesと称して、共通の枠組みで統一的に扱うことを決めた。これらの事項は以下のとおり:
上記のうち(a)~(d)については、執筆者への手引きとなるガイダンスペーパーを作成し、考え方、用語の統一などを図った。((e)~(f)については、特別報告書などでカバーした。)特に(a)(b)については、執筆者間の相互理解を深めるため数度のIPCC Expert Meetingが開催された。本ガイダンスペーパーは、2000年7月に完成し、IPCC公式ホームページで紹介されている。(Guidance Papers on the Cross Cutting Issues of the Third Assessment Report of the IPCC Edited by R.Pachauri, T.Taniguchi, K.Tanaka, ISBN: 4-9980908-0-1 http://www.ipcc.ch/pub/support.htm 参照 ) |
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②統合報告書について 第三次評価報告書では、各作業部会の評価報告書に加え、各作業部会の結果等をまとめた「統合報告書」(Synthesis Report)が作成された。この「統合報告書」は、各作業部会の「政策決定者向け要約」(Summary for Policy maker)と、気候変動枠組条約締約国会議等から質問のあった「政策に関連する科学的、技術的、社会経済的課題」(Policy Relevant Scientific, technical and socio-economic Questions) に答える部分で構成されている。 |
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* | WG 1: 2007年1-3月 |
* | WG 2 & 3:2007年中旬 |
* | 統合報告書(SYR)を書くとすれば2007年末 |
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・ | AR4作成準備として、WG別にAR4の骨格と横断的課題の取扱いについて議論。 (経済産業省 IPCC第四次評価報告書第一回スコーピング会合結果概要参照。) |
・ | AR4の骨子案の検討、及び7つの横断的課題に関して事前配布された概念ペーパーをふまえて各WGにおいて取扱いについて検討。 (環境省地球環境局研究調査室 第2回IPCC第4次評価報告書スコーピング会合の概要参照。) |
・ | 各WG会合のアウトライン、作業スケジュール、及び予算等が採択された。 | ||||||
・ | 2004年4月の執筆者選定に向けて各国から専門家(執筆候補者)の募集を開始。 (第21回全体会合参加報告書 ページ1~6参照。) |
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・ | WG IIIの第7回会合の議論の詳細な記録は以下を参照。 (第7回WG III会合記録) |
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・ | 各WGのアウトラインの和訳は以下のとおり:
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・ | AR4で取り扱う横断的課題(7つ)と担当は以下のとおり: |
横断的課題 | 主に担当するWG | アンカー |
リスクと不確実性 | 1 | Manning(US) Petit(フランス) |
地域的視点 | 1 | Giorgi(イタリア ) Carter(フィンランド) |
水 | 2 | Kundzewicz(ポーランド) Mata(ベネズエラ) |
主要な脆弱性(条約2条) | 2 | Schneider(US) Anisimov(ロシア) |
適応と緩和(統合的アプローチ) | 3 | Grubb (イギリス) Huq(バングラデッシュ) |
持続的発展(SD) | 3 | Srivastava(インド) Heller(US) |
技術 | 3 | Edmonds(US) Moreira(ブラジル) |
・ | AR4統合報告書の作成が決定され、形式や長さ、トピック、スケジュールなどについて検討された。 |
・ | 各WGより、2004年4月のビューロー会合でAR4の執筆者・査読者を選出し、2004年末から2005年初めにゼロ次ドラフトをTSUに提出する予定である旨、報告。 |
・ | その他特別報告書の進捗状況の報告 |
第22回全体会合参加報告書 |
第24回全体会合参加報告書 |
気候変動と水に関する技術報告書 |
(TPCCW: Technical Paper on Climate Change and Water) |
IPCC19(2002年4月、ジュネーブ)にて水と気候ダイアローグ等から水と気候に関する特別報告書の作成が依頼される。 | |
気候変動と水に関する諮問会合(2002年11月11-12日、ジュネーブ)にて国際機関及び専門家と検討。①AR4が完成する頃には既に古くなってしまうことから2005か2006年の特別報告書完成はあまり意味がない、②AR4をベースにしたTPにした方が意味がある、③AR4では水に関してTARよりもより統合し扱いを拡大することとする、の3点に合意。 | |
IPCC20(2003年2月、パリ)にて特別報告書ではなくCCT(Cross Cutting Theme:横断的課題)としてAR4内で扱うこととパネルで決定。また、IPCC21でスコーピング・ペーパーが提出された。 |
水関連の気候変動に対する自然効果と人為的影響のリンク及び適応・緩和オプションに関する理解を深める。特に政策決定者及び利害関係者に情報を提供し、シナジー効果とトレードオフ等についても理解してもらう。 | |
TPCCWには、主に適応計画の有無と水資源への影響に焦点を置き、水文学については特に指摘するべき新科学的結果のみハイライトする。 | |
AR4CCTでの議論をベースとするが、利用者の利便性を考えて一つの文書にまとめる。 |
水資源管理、気候変動、戦略的プランニング、社会経済発展に携わっている政策決定者、科学者団体等。 |
AR4の執筆者に大きく頼ることとなるが、IPCC手順に従ったLA選定プロセスを踏む。民間、NGOの関与も確保する。 | |
特に水文学、水管理、気候学、気象学、生態学、農業、空間プランニング、経済学、社会学、保険といった分野の専門家が必要。 |
2005年7-9月 | : | CLAとLAのリスト編纂。利害関係者等と協議開始 |
2006年4-6月 | : | WGビューローによるLA選定 |
2006年7-9月 | : | 第1回LA会合→第1次案作成 |
2006年10-12月 | : | 専門家/政府レビュー |
2007年1-3月 | : | 第2回LA会合→第2次案作成 |
2007年4-6月 | : | 最終政府レビュー |
2007年7-9月 | : | IPCCビューローと協議の上TPを完成 |
2008年初旬 | : | 出版 |
気候変動の放射強制とIPCC IS92排出シナリオの評価 |
(Radioactive Forcing of Climate Change and An Evaluation of the IPCC IS1992 Emissions Scenarios) |
気候変動の影響と適応策の評価のための技術ガイドライン→絶版 |
(IPCC Technical Guidelines for Assessing Climate Change Impacts and Adaptations with a Summary for Policy Makers and a Technical Summary) |
温室効果ガス目録のためのIPCCガイドライン→絶版(1996年改訂版ガイドラインに置き換え) |
(IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas Inventories) |
(Special Report on Carbon Dioxide Capture and Storage) WG III共同議長であるメッツ博士(蘭)によって紹介されたこのトピックは、もともと技術報告書として作成するようCOP7(2001年10~11月:モロッコ・マラケシュ)にて決定されていたが、IPCCは、この技術に関する過去の報告書が存在しないこと等から技術報告書にする意味がないと判断し、第19回会合で(2002年4月)地中・海洋両方における炭素の隔離・貯留・回収に関する特別報告書を作成することに合意した。同年11月カナダにてワークショップを開き、CO2回収技術や貯蔵オプション、コスト効率性、リスク管理等の点について協議し、スコーピング・ペーパー、スケジュール、詳細なアウトライン(目次案)についても検討された。その後、2003年初めに執筆者が選定され、4回の執筆者会合を経て同報告書は2005年秋に完成した。2005年9月の第24回全体会合で承認・受諾された。(詳細はIPCC-20、21、22、24の検討事項・参加報告書参照) |
(Special Report on Safeguarding the Ozone Layer and the Global Climate System: Issues Related to
Hydrofluorocarbons and Perfluorocarbons) COP8(2002年10月:インド・デリー)及び第14回モントリオール議定書締約国会議での決定を受け、IPCC第20回全体会合(2003年2月:フランス・パリ)で同テーマの特別報告書作成が決定し、内容、スケジュール、予算、委任条項等に関するスコーピング・ペーパーが提出・採択された。IPCC側はWGI及びIII(Metz氏(オランダ)、Davidson氏(シエラ・レオーネ)両WG III共同議長及びSolomon WG I共同議長の3名が中心となっている)、そしてモントリオール議定書の技術・経済評価パネル(Technology and Economic Assessment Panel)と合同で活動を進めていくことになった。第21回、第22回会合で進捗状況が報告された(IPCC-21検討事項ページ7、IPCC-22参加報告書ページ12)。2005年4月の第23回全体会合で受諾された。 |
(National Greenhouse Gas Inventories Programme) |
[タスクフォースビュロー(TFB)・メンバー] |
[タスク1] | 土地利用、土地利用の変化及び林業に関するグッドプラクティスガイダンス (Good Practice Guidance for Land Use, Land-use Change and Forestry) |
[タスク2] | 森林の土地劣化とその他植生の消失の定義と排出目録の方法論的オプションに関する報告書 (Definition and Methodological Options to Inventory Emissions from Direct Human-induced Degradation of Forests and wwwegetation of Other Vegetation Options) |
[タスク3] | GHG排出源および吸収源における直接的人為的影響を間接的人為的影響ないし自然効果から識別する方法に関する報告書案 (Factoring Out Direct Human Induced-Changes in Carbon Stocks) |