京都議定書の国際的メカニズムである「クリーン開発メカニズム」の導入において技術的に困難な点として、プロジェクトがなかった場合の「ベースライン問題」がある。この問題に関して、1999年2月25日および26日、東京のホテル・ニューオータニにおいて、この問題に関する専門家を招いた国際ワークショップが開催された。 主催は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、後援として通 商産業省、環境庁、外務省、事務局は(財)地球産業文化研究所が担当した。 このワークショップにおける問題意識は、現状での専門家の知見を集積し、今後COP 6に向けて開始する京都メカニズムのデザインの議論において、スターティング・ポイントを明確化させようとするものである。 このワークショップにおいては、さいわい、諸外国から多数の専門家、およびコメンテーターとして政策担当者の参加をえて、技術的な課題にもかかわらず、かなりインテンシブな議論を行うことができ、主催者、共催者、そして参加者にとって、得るものが多かったといえよう。 特に、プレゼンテーションを行った専門家の方々には、事前にペーパーを用意していただき、かつOHPシート原稿まで送っていただいた。これらはコピーして会場で配布することができたため、参加者が問題をよりよく理解するために有用であった。ここに感謝の意を表するものである。特に、USDOE/IGESのDr。 Robert Dixon氏には、人選、初日の議長役、プレゼンテーションと多大な貢献をしていただいたことを感謝する。 本報告書は、これらのペーパーを収録したものであり、時間的な制約から、当時の原稿をそのまま掲載している。書き加える意向を示した専門家もいるが、その点をご了解いただきたい。 今後、このワークショップの議論が、京都メカニズムのデザイン交渉において有益なインプットとなることを期待したい。 |