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2000年10月号

CONFERENCE

中国・チャイナカウンシル関連会議出席報告


 9月10日(日)、中国・北京市にて、チャイナカウンシル活動[注 1]の一環として、中国におけるクリーナープロダクション(CP)の 実施状況についての意見・情報交換を行う目的で、”National CP Conference(中国国内CP会議)”が、それに引き続く11日(月)〜12日 (火)に遼寧省大連市にて、チャイナカウンシル・クリーナープロダ クション作業部会(WG)第7回会議が開催され、事務局として参加し たので、以下の通り報告する。

<会議の主な内容>


1.中国国内CP会議


 同会議へは、外国側CPWG共同議長である、井出亜夫(いで・つぎ お)慶應義塾大学教授、銭易(Prof. Qian Yi)中国側共同議長、同WG メンバー、中国国内でCP活動を推進する役割を担う国家経済貿易委員 会、環境規制を所管する国家環境保護総局からそれぞれの担当官、山 西省太原市市長、北京市、天津市、上海市それぞれの環境保護局の担 当官ら合計約50名が参加した。

 チャイナカウンシル側を代表して、張坤民事務局長(前中国国家環 境保護局副局長)によるスピーチが行われ、引き続いて、中国国内の 各市の代表による、CP活動報告が行われた。

(1)山西省太原市CP実施状況

 CPデモンストレーション都市として、太原市は1999年3月から全市 を挙げてCP推進活動に取り組んでいるが、これまでの取り組み状況に ついて、同市Li Rong Huai市長より報告が行われた。 ・経営者、専門家、技術者によるCP活動推進組織が、主要な工場にお けるクリーナープロダクションの技術的な達成状況を調査し、アドバ イスを行った。また、CP条例が成立し、全市の企業を対象に導入され た。

・合計で9業種38のCPプロジェクトが実行され、総投資額は15億中国 人民元に上る(1人民元=約13円)。プロジェクトの中には、石炭燃 焼ボイラー、石炭火力発電、ゴミ処理施設の効率改善が含まれる。こ れらのプロジェクトは、経済的に優れ、環境に配慮した、また社会的 な便益につながることを目指している。

・こうした一連のプロジェクトを通じて、太原市の環境汚染の悪化傾 向を効果 的に抑制できるようになり、都市部での浮遊粒子状物質、二 酸化硫黄濃度の指数が改善を示した。

・今後、着実にCP活動を促進させる上で、産業別の主要企業を対象と する「CP評価指標」を整備していく。

(2)太原鉄鋼におけるCPへの取り組み

 太原市のエネルギー、重化学工業発展の重要な位置を占める同企業 は、太原市のCPデモンストレーションのモデル企業に認定され、同市 のCP導入の方針に従って、CP推進活動を実行し、その成果を上げつつ ある。

○取り組みの例:

・燃料用石炭の硫黄含有量を1%以下に抑制。

・100基以上の小型石炭燃焼ボイラーを設備更新。

・ボイラー用のエネルギーとして、石炭の使用を止め、電気、スチー ム、(石炭生成)ガスへの転換。

・工場全体のプロセスコントロールを通じて汚染予防に取り組み、環 境管理システム(ISO14000)認証取得に向け、太原市の支援を受けな がら調査研究中。

・今後、CPプロジェクトの一環として計画中の中・大規模設備投資と しては、コークス炉用コークス乾式消火設備(CDQ)[注2]、高速 熱分解石炭ガス化装置、コークス炉ガス脱硫装置、溶鋼(liquid steel) の連続鋳造化(→省エネに効果)、等が挙げられる。

(3)抗州市環境保護研究所及び煤炭(石炭)科学研究総院

 中国国内における工場が使用する中小規模の石炭燃焼ボイラーは、 二酸化硫黄の排出濃度が高く、依然として大気汚染の主要な原因を占 めている。ボイラーからの煤の過度な排出や二酸化硫黄排出濃度を削 減させるためには、ボイラーの燃焼効率の向上と共に、その原料とな る石炭のクリーン化が不可欠である。クリーンコールテクノロジーの 導入には、その採用当初は多額のコストがかかるが、中長期的には大 気汚染の度合いが低下し、環境保護に役立てられる。



2.クリーナープロダクションWG会議


 「会議風景」
(1)WGのレコメンデーション

 チャイナカウンシル事務局を通じて、10月に開催されるチャイナカ ウンシル本会議へ提出されるレコメンデーション案(所管官庁による 中国全土でのCP活動推進およびCP活動推進関連法案の整備促進)に関 して審議を行った。

(2)海外のCP実施先進企業訪問プログラム

 日本側より、中国のCP実施企業、政府のCP実施管轄部署、清華大学 のCPプロジェクト担当者を対象として最大10名を日本へ招聘し、日本 におけるCP実施企業訪問を含めた「スタディ・ツアー」の企画案につ いて説明を行った。具体的な実施時期は、今後中国側と調整するが、 平成13年2月上旬から約10日間の予定。

(3)今後のCPWGの活動計画


1.引き続き、CP評価指数制度(CP Indication System)への支援、山西 省太原市をはじめとした地元企業への適用とCP法制化への支援。

2.海外の有識者をも交えた、International CP Conference(国際CP会議) の実施。

3.CP推進活動へのこれまでの取り組みを紹介する報告書の出版、等。

(4)次回WG会議開催予定


 平成13年2月下旬頃(於:中国国内)の日程で、今後中国側事務局 と調整予定。


(伊藤裕之)


[注1]:中国政府に対して環境と開発の統合に関する建設的な提案を するためのハイレベルの諮問機関であり、1992年4月に設立された。  →本文に戻る

[注2]:製鉄所コークス炉から押し出された赤熱コークスの消火・冷却 を不活性ガスで行い、廃熱回収を行って高温高圧の水蒸気を発生させ、製鉄所内で活用する(→二酸化炭素排出削減に効果 )  →本文に戻る