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2004年 1号

Report
委託調査研究報告書
「協働のための企業・自治体の視点からのNPO評価」
平成15年度日本自転車振興会補助事業

標題主題について「人と組織と地球のための国際研究所」に委託した調査研究報告書が完成した。以下に調査の狙いと、概要を紹介する。



調査のねらい

 NPO(民間非営利組織)は、これからの市民社会の最も重要なアクターであるが、NPO単独でできることは限られており、企業や政府といった他のアクターと様々な形で協働し、補完し合うことによって、より付加価値の高い活動を行うことが可能になると考えられる。

  一方、企業や行政、とりわけ地方自治体においても、NPOとの協働を進めたいという意向は急速に強まっており、具体的な事例も蓄積されてきているが、顕著な成功事例はまだまだ少ないのが現状である。

  一般に、協働とは、互いの強みを生かしあうことで、相乗効果を得ることを目的としたプロセスであるが、特にNPOと政府・企業との協働といえば、これまで政府・企業からNPOに対する単純な資金提供や業務委託が中心であった。

  このため、協働のパートナーが相互に適正に選択されているかという問題を別にしても、その協働が受益者にとって最適なソリューションを提供しているか、あるいは協働の終了後もNPOが自立的に事業・活動を継続しているか、といった、基本的に重要な観点について配慮された事例は、現在のところまだごく少数に限られている。協働はあくまで、市民社会に求められる価値を実現するために、複数のアクターが、互いの力を生かしあうことにこそ意義がある。

  本研究会のミッションは、以上のような問題意識を持ちつつ、協働の意義を理解して実践している事例を発掘し、その成功の要因や直面する課題などを率直に聞き、整理・分析することであり、また、これから協働を開始し、または拡充しようとしているNPO、企業、行政関係者に対してさまざまな示唆を与えることである。

本報告書は、これら一連の調査・検討の結果をとりまとめたものであり、協働の最前線で活動するすべての関係者の道しるべとして活用されることを期待したい。

(協働のための企業・自治体の視点からのNPO評価研究会 山内座長 による「委員会ミッションと調査のねらい」)

概要

 NPO(民間非営利組織)は、市民社会の最も重要なアクターであるが、NPO単独でできることは限られており、企業や政府といった他のアクターと様々な形で協働し、補完し合うことによって、より付加価値の高い活動を行うことが可能になると考えられる。

 一方、企業や行政、とりわけ地方自治体においても、NPOとの協働を進めたいという意向は急速に強まっており、具体的な事例も蓄積されつつあるが、顕著な成功事例はまだまだ少ないのが現状である。

 本研究会のミッションは、協働の意義を理解して実践している事例を発掘し、その成功の要因や直面する課題などを率直に聞き、整理・分析することであり、また、これから協働を開始し、または拡充しようとしているNPO、企業、行政関係者に対してさまざまな示唆を与えることである。

 協働は、現実には、量においても質においても、適切に進められているとは言えない状況にあり、懸念や問題点を指摘する声も多い。その問題点の原因から整理すると、協働を生み育てるポイントとして、
  相乗効果を確認する。
  基本原則を定める。
  1対1から、多対多へ
  原則からプロセスへ
  浅い協働から深い協働へ
  戦略性のない協働から、戦略を明示した協働へ
  基準のない協働から、基準を明示した協働へ
の7点が挙げられる。

 行政とNPOとの協働では、単発的・問題対処的な業務の執行を委託するなど、制度化された資金を分配するだけでなく、NPOによる事業の持続性の向上や、「市民参加」型の政策立案へと拡充し、「市民が提言し、NPOも実行する」という「市民参画」型の政策立案と実施もなされるよう、領域を拡大する必要がある。

 企業とNPOとの協働でも、単発的に、企業にとって本業に関係がうすい慈善型の協賛だけでなく、戦略に基づく継続的な社会貢献や、本業に直結する継続的な社会参画にも、領域を拡大する必要がある。

 またNPOにも、協働を始める前に、
  単独でも実施するか?
  社会に成果を提供できるか?
  依存性は高まらないか(自立性は高まるか?)
といった項目を確認し、「協働のあと」を想定した戦略が求められる。

以上