Q-1: |
(谷口所長/早稲田大学現代中国総合研究所)
中国も日本も若い学生の理解が足りないと思うがどうしたらいいか。また、日本・ASEAN特別首脳会議でも、日本政府はASEANに対する呼びかけはするものの、中国、韓国を無視。中国はASEANと勝手にやっている。こういうことでよいのか? |
A: |
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(関) |
中国人留学生をもっと大事にすべきではないか。日本の外交政策の失敗だ。日本企業に就職も出来ず、欧米企業に就職している。これでは優秀な人材は集まらない。NEC政策(Nippon Educated Chinese)、日本で教育を受けた中国人をいかに活用するかが、今後の日本企業の対中進出の重要なテーマだ。 |
(木村) |
コミュニケーション不足が問題なのではないか。これは日中も日韓も同じこと。色々なレベルでコミュニケーションを密にすることが大事。中/ASEANも日/ASEANは内容的にもかなり違うし、両国ともお互いやるべきことは認識しているはず、楽観している。 |
Q-2: |
(大川顧問/東レ(株))
人民元とFTA問題は非常に関係している。元が15〜20%低く抑えられている中で、FTAの目差す貿易の自由化だけが先行するというのは問題があるのではないか。分業体制、補完関係にあって、通貨問題を議論せずに進めていってよいものか?
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A: |
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(木村) |
深く連関しているが、技術的に分けてやることは可能。人民元よりも資本移動の方が本当は問題がある。資本移動に制約があって貿易の自由化だけやるのはテクニカルには可能だが、確かに問題があるかもしれない。 |
(関) |
2段階で考えていいのでは。日本の時もそうだったが、ニクソンショックをきっかけに変動為替制に移行したが、資本の自由化は少し遅れた。皆さんは中国での利潤の送金問題が気になるのだろうが,これは資本取引ではなく経常取引だ。IMF8条国、WTOにも加盟しており、相当自由に、むしろ優遇されているという面でそう苦情はないはず。 |
(木村) |
米国/チリ、米国/シンガポールのFTAでは、資本規制を基本的にしてはいけないことになっている。日本が作ろうとしているFTAには、恐らくそのようなものを入れようという話はないと理解。 |
(茅田) |
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生産については、内販問題に比べるとそれほど苦労はしていない。 |
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模倣品については、技術協力をしている以上その危険性は十分にあるが、中身までは真似できない。 |
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販売リスクは、「代金回収」の一言に尽きる。現金回収ではなく「割賦販売」方式。銀行ローンシステムという安全な体制ができており、IDカード、戸籍謄本、仕事内容の3点の情報、証明があれば商売が成立する。顧客情報、信用情報が整備され、透明化、公開化されることを期待。 |
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今まではお客様にコマツを選んでいただくということでやってきたが、これからは我々がお客様を選ぶことが大事になってくる。 |
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債権回収で大事なことは現場管理。顧客の動き、ビヘイビア等はもちろん、我々のスタッフ、マネジャーや代理店、ビジネスパートナー等の動き、全て現場の問題。そういった意味で、リスク管理イコール現場管理ということ。 |
(安見) |
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生産に関しては、品質管理という観点から、現場のマネジメントが大事。日本人でもうまくいかない場合もあり、「現地マネジャーの育成」と「従業員の育成」が一番大きな問題。 |
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模倣品については、既にユーザー側が求めるものが違う、すなわち、「いいもの」と「安ければよい」という風に分かれてきているので、仕方のない問題。 |
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販売に関しては代金回収が最大の問題。現金回収を前提としているが少しずつ掛売りにシフト。 |
(服部) |
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一般的、普遍的に言って、リスクへの対応で大事なことは、全てをオープンにしていくこと。もう一つは、行政機関に対しては、脅しの精神、脅迫ではなくて圧力をかけるということが大事。 |
(金) |
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リスク問題は、日本市場とのリスク比較ではなく、競争相手と同じリスクに直面しているかどうか。
代金回収も技術流出も同じで、価値あるものは自分でマネジメントすることが重要。 |
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技術流出での問題はジョブホッピー。日本企業が中国市場で中国人、日本人自体をどうやってマネジメントするか。何が技術で、何を守らなければならないかが管理できているか。 |
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現地化、リスクヘッジとリスクマネジメント、モニタリングという体制、制度、手段を整備する必要あり。 |
(服部) |
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一般的、普遍的には言えないが、中国を見ていく場合に留意すべきことは、発展途上国であるということ、共産党一党独裁であるということ。こういう条件のもとで、市場を育てていくという側面と、不合理な側面に対応していかなければならない。 |
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特に問題なのが内販問題だが、生産活動以上に中国企業と組む必要あり。相手企業をよく見極めなければならないが、今や、中国企業も我々日本企業を見ている。 |
(金) |
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中国で成功する秘訣は3つ。中国市場を良く見て対応できること(市場形成に敏感に反応、対応)、消費者ニーズに合った技術を持つこと(カタログ販売ではなく消費者需要に合致した技術開発)、マネジメント(現地化が基本)。 |
(安見) |
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現地社長には徹底した「経営の教育」をスパルタで叩き込み、社員全体には「志」を持たせた。 |
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アライアンスに関しては、中小企業ということから、異業種が一つの会社になって中国へ進出。ユニカが代表企業(現地名:日質)として運営、各会社は"事業部"として組織、共通部分は共通コストとして処理しコスト引き下げ、効率的運営とリスクヘッジを図った。 |
(茅田) |
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現地トップは中国人、20年前に北京で入社以後ずっと育成してきた。大事なのは本人もそうだが、彼についてくる人がいるということ、彼を見て彼をフォローするために、いい意味で現地の中国人が頑張るということ。 |
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中国進出当初はアライアンスを組むような状況ではなかったが、今は山東省の大学と組んだりしていろいろなことはやっている。 |
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経営の基本は、中国の様々な資源(人、金、ノウハウ等々)を最大活用し尽くすこと。中国の工場といえども、グローバル競争に勝つためには何でもやらせるということ。 |