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2006年  5号
Research Project

平成18年度
「若年層の人材開発と雇用創出を考える」研究委員会



背景

 日本の若者の完全失業率は1990年代後半から急上昇し、15歳から24歳の男子に限れば1999年以降、10%を超えこの1,2年の景気回復基調のも とにおいても、高止まりで推移している。
 バブルの崩壊、景気の長期低迷で雇用環境が極度に悪化した(景気要因)だけでなく、若者自身の職業観や就労意欲が産業社会の人材需要とミスマッチ(構造 的要因)を起こし、パート、アルバイトなどを含む所謂フリーター人口の顕著な増加やニートの常在化をもたらしている。
 こうした状況はいうまでもなく若者自身にとってもまた産業界にとっても望ましいことではなく、活力ある社会経済システムを維持、発展させるために一刻も 早い事態の改善が求められることから、平成15年以降「若者自立・挑戦プラン」のもと、若年層の就労機会を拡げる様々な政府施策が講じられている。
 これらの施策は一定の成果をあげつつあるものの、所期の成果を生み出すためになお解決すべき課題、整備されるべき制度・環境は少なくない。
 とくに若者自身の社会力、人間力を培うために学校段階において如何なるキャリア教育が必要とされるのか、また学校段階から社会へ移行する過程(マッチン グプロセス)が適切円滑に進められるように、如何なる支援体制が必要なのか、また若者達を受け入れる社会と産業界は彼らを有能な人材として育てるために如 何なる方策をとるべきか、など議論の掘下げと具体的施策が強く求められている。


研究の目的

 こうした背景のもと、関係各分野の研究者と実務の専門家及び政府の政策担当の諸氏の参加を得て若年層の人材開発と雇用創出を考える研究委員会を設置、以 下の各項を中心に検討を進めることとする。
(1)内閣府及び厚生労働省・文部科学省・経済産業省の3省の連携のもとで平成15年度からスタートした「若者自立・挑戦プラン」は、これまでどのような 成果を上げ、どのような課題が残されているのか。
(2)学校段階でのキャリア教育が如何なるシステムが望ましいのか。
(3)学校から社会への移行過程では変わりつつある社会ニーズや産業界のニーズなどを生徒・学生に伝えながら適切に職業選択・企業選択を指導する人材の役 割が極めて大きいが、現在の仕組み・指導者はこうした役割を的確に果たしているのか。如何なる方向への改善が望まれるのか。
(4)グローバル化に伴う経営環境変化に対応し、「能力主義」,「成果主義」が導入され、長期的視点からの企業による人材の採用・育成戦略は、より即効性 を重視する方向へ転換している。若年入職者の高い離職率との関連が指摘されるなか、今後、産業界はどのような人材政策・雇用政策をとるのか、また若年層へ のメッセージとして何を伝えるべきなのか。
(5)所謂団塊の世代に代表される中高年人材の大量離職に伴い、彼らの保有する専門知識や技術・技能、社会経験・就業経験や社会的関心・志向などの知的な 資産とエネルギー、さらには経済的な蓄積などが若年層のキャリアアップに活用され、或いはその取組みの支援に供されることが期待されている。そうした異世 代間の交流・連携がより効果的に進められるための仕組みや受皿の整備のために企業、NPOや地域コミュニティの担うべき役割は如何なるものか。





研究委員会名簿
(敬称略、五十音順)
 
    氏  名   所属・役職
委員長 高梨  昌 信州大学名誉教授
委 員 井戸 和男 天理大学人間学部教授
委 員 鹿嶋 研之助 千葉商科大学商経学部教授
委 員 北浦 正行 (財)社会経済生産性本部事務局次長
委 員 工藤  啓 (特)「育て上げ」ネット理事長
委 員 小杉 礼子 (独)労働政策研究・研修機構人材育成研究担当統括研究員
委 員 佐野  哲 法政大学経営学部教授
委 員 森まり子 東京商工会議所産業政策部労働・福祉担当課長
委 員 八幡成美 法政大学キャリアデザイン学部教授
委 員 結城至弘 (財)社会経済生産性本部社会労働部担当課長・主任研究員
委 員 輪島 忍 (社)日本経済団体連合会労政第1本部雇用管理グループ長