■背景・目的
2008年からの京都議定書第一約束期間を前に、政府は京都議定書目標達成計画を策定・推進し、温室効果ガス(GHG)の排出削減を図っている。しかし2004年度のGHGの総排出量は13億5,500万トン(CO2換算)と京都議定書における基準年の総排出量から7.4%増加となっており、6%削減という日本の目標達成への道のりは険しいと言わざるを得ない。
このような状況で産業界に着目すると、多くの大企業が日本経団連「環境自主行動計画」においてチャレンジングな目標を設定し、既にかなりのGHGの排出削減を達成済みである。一方、前記計画に未参加の企業(主に中小事業者)は現時点では十分な対策を講じているとは言えず、大企業に比べて削減の余地は大きいと想像される。
しかし中小事業者には、大企業に比べて、
・企業数が膨大で、個別にフォローすることが不可能
・温暖化対策を進めるインセンティブが不足
・人的・資金的に温暖化対策に割ける経営資源が不十分
などの問題があり、大企業と同様の温暖化対策施策が有効とは考え難く、中小事業者に適した施策が必要とされている。
以上のような問題意識のもと、本調査研究では、「中小事業者」の置かれた状況を踏まえつつ、彼らのGHG削減の取組みを促進するための課題や方向性について、幅広い視点で調査・研究することを目的とする。
■調査研究の基本的な考え方
本調査研究における基本的な考え方は下記の通りである。
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一言で中小事業者と言っても規模・経営状況・業種など各社の置かれている状況は様々であり、全てを一括りに扱うことは適当ではない。よってまずは適切な切り口により中小事業者をカテゴライズした上で、検討する対象を明確化する。そしてその限定された対象について、課題や取組みの方向性について検討する。 |
A |
中小事業者の省エネルギーや温暖化の対策として、既に政府・自治体・金融機関などが独自の施策を実施している。本委員会では、それらの棚卸しを行い、全体を俯瞰した上で、各施策のさらなる効率化、あるいは各々の高度な連携が可能か否かという視点で検討を行う。 |
B |
中小事業者は大企業に比べ経営体力が十分とは言えない企業が多く、強制的・規制的な施策は適切ではない。よって政府・自治体・金融機関などの利害関係者(ステークホルダー)から適切なインセンティブを与えることで、彼らが自発的に省エネなどの取組みを進めるような方向で検討を進める。 |
■検討委員会
(1) |
検討委員会 |
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(財)日本エネルギー経済研究所 地球環境ユニット ユニット総括 工藤拓毅委員長 含め 委員計8名 |
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(2) |
委員会開催 |
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平成18年10月〜 |
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(3) |
検討予定項目 |
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第1回(趣旨確認、現状整理) |
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中小事業者のGHG排出状況、既存施策の概要、本調査委員会の進め方について |
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A
| 中小事業者の温暖化対策促進に関する政府の取組みについて |
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第2回(中小事業者の温暖化対策の実態、既存施策の棚卸し) |
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簡易型環境マネジメントシステムの概要と中小事業者における活用実態について |
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A
| 業務部門のエネルギー使用実態調査について |
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第3回(中小事業者の温暖化対策の実態、既存施策の棚卸し) |
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中小事業者の温暖化対策に関するアンケート・ヒアリング結果について |
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A |
温暖化対策に先進的な自治体の取組みに関する情報交換 |
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第4回(課題、方向性に関する検討) |
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中小事業者のカテゴライズと対象の明確化 |
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A |
各対象における温暖化対策促進の課題・方向性検討 |
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第5回(報告書のとりまとめ) |
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報告書案に基づく、とりまとめ方法の検討 |