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ニュースレター
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2006年
3号
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Report | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
産業社会のリスクガバナンスと安全文化研究委員会報告書 平成17年度 日本自転車振興会補助事業 この度、標題の研究委員会報告書が完成したので、その概要を紹介する。
産業界を中心に安全確保のための種々の取組が続けられているが、最近、生産現場や製品の消費現場等において、重大な事故等が発生している。これらの事故等の背景には、産業の高度化、多様化、国際化が進展し、市場のグローバル化に伴う企業経営の合理化や社会システムの変化等も係わっていると考えられる。
このような状況の中で企業が多様な市場ニーズに応え、安全を確保して いくためには企業は、経営の効率化を進めるなかで、環境・安全問題への取組も含め、企業経営の透明性、説明責任に応える必要があり、最近では一部の先進的企業ではCSR等の取組も始まっている。 一方、消費者においても、環境・安全への関心の高まりの中で、企業が提供する製品や製造プロセスへの関心を強め、企業との対話を通じ企業行動を理解し、企業との連携により安全を高めようという動きも徐々に広がりつつある。 製品のリスクを低減し、安全を確保していくためには、製品安全にかかわる企業、消費者、社会、行政がそれぞれの立場でそれぞれの役割を果していくことが重要である。 企業は、製品・技術に精通したプロとして、自主的な安全への取組を行う必要があり、一方、消費者は政府の規制等に則り企業が提供する安全な製品を利用する際に、企業や政府、社会と双方向性の高い係わりをもって、主体的に安全な使用に努める必要がある。 そのためには、安全情報の共有化がキーであり、企業は適切な安全情報の開示を積極的に行い、消費者はリスクの概念を正しく理解し、ベネフィットとリスクとのバランスでものごとを判断する考え方を身につけるとともに、安全情報を客観的に理解することが肝要である。 これまで企業は政府による安全規制等の下で生産安全・製品安全に取り組んできたが、今後、種々の新たなリスクの出現が想定される中で、産業社会の安全を高めていくためには、企業の安全への取組だけではなく、消費者、社会など企業のステークホルダーとのパートナーシップが重要であり、その制度を構築し、運営する上で行政の役割もいっそう重要となる。 本研究においては、日本社会における製品安全に関するリスクとリスク・マネジメントおよびリスク・コミュニケーションについて検討するとともに、産業界の安全への取組について紹介し、今後検討すべき課題を提示する。(田村委員長「総括」はじめに より) 研究委員会名簿
(敬称略,五十音順)
報告書目次
総 括 産業社会のリスク・ガバナンスと安全文化への提言(田村委員長)
<PDFファイル 200KB> 第1部 日本社会におけるリスクとリスクマネジメント 第1章 化学物質管理におけるリスク概念の導入(重倉委員) 第2章 リスク社会と技術・環境リスクのガバナンス(池田委員) 第2部 リスク・コミュニケーションと課題 第1章 科学技術のリスク認知と消費者の理解−社会心理学の見地から(小杉委員) 第2章 リスク・コミュニケーションの促進要因・阻害要因(小島委員) 第3章 報道についての7つの法則(小出委員) 第3部 安全情報開示 第1章 企業のPL対策における情報伝達・開示の現状と課題(身崎委員) 第2章 CSR報告書における製品安全情報開示の分析(緑川委員) 第3章 商品の安全情報に関する消費者側からの提言(宮本委員) 第4部 製品安全に向けた産業界の取組 第1章 製品安全の確保に向けた体制整備の現状と課題(井上委員講演録) 第2章 先進企業の取組み(1)アパレルのPL(久保田講師講演録) 第3章 先進企業の取組み(2)花王のリスク・コミュニケーション(堂園講師講演録) 第4章 先進企業の取組み(3)キユーピーのリスク・コミュニケーション(布施講師講演録) 第5章 中小企業における安全への取り組み実態(委託調査報告) (文責 研究委員会事務局)
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