4.第四次評価報告書(2003〜2007予定) 背景 / 現状
第三次評価報告書(TAR)の完成後初めて開催された第19回全体会合(ジュネーブ、2002年4月)にて、第四次評価報告書の作成が正式に決定された。過去3つの評価報告書は、気候変化を科学的、及び技術的な側面から評価しており、政治規定的(policy
prescriptive)になりやすい内容を中立的立場から分析している点において、広い層からその作成が支持されていた。そこでIPCCは、2001年4月に開催された第17回全体会合(ナイロビ)と同年9月に開催された第18回全体会合(ウェンブレー)において既に第三次評価報告書完成以降の活動について議論を開始していた。第19回全体会合では、作成の有無に加え、どういった構成で報告書を作成するか等も決定した。
第四次評価報告書は、TARと同じ作業部会の構成(WG I:科学的根拠、WG II:影響・適応・脆弱性、WG III:緩和対策、インベントリー・タスクフォース*)で執筆するが、今までの報告書が長すぎたという反省から、TAR以降の気候変化に関する研究や、継続的に行っているモニターリング等の評価を、包括的だがより短く、明確な焦点をもった報告書としてまとめる事となった。又、最新情報も取り入れることとなった。
*インベントリー・タスクフォース:温室効果ガス排出量等の算定方法等を取り決めている「温室効果ガス・インベントリー・プログラム」を実施しており、現在は「土地利用、土地利用変化、及び林業」に関する3つのタスクを負っている。(7.その他を参照)
3つの作業部会による報告書の作成順序について、第18回全体会合までは、WG I(気候変化の科学的根拠)の報告書と、その結果をふまえて執筆するWG
II(影響・適応・脆弱性)とWG III(緩和策)の報告書を同時期に完成させることは適切でない、という議論が展開されていた。つまり時間差(Stagger)を設けて報告書を完成させる方が論理的であるという意見が多く聞かれていた。しかし第19回会合では、先にWG
Iが報告書を完成させたとしてもモニターリング等は他の2つの作業部会が執筆している間も継続されていることから、特にWG Iのみの報告書を、時間差をつけてまで完成させる必要は無い、という意見が優勢になり、結局UNFCCCへのインパクトも考慮して2007年までに各作業部会が連続的(Sequence)に報告書を完成させることで合意された。各作業部会の報告書の完成時期は以下のとおりである。
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WG 1: 2007年1−3月 |
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WG 2 & 3:2007年中旬 |
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統合報告書(SYR)を書くとすれば2007年末 |
統合報告書の有無・範囲・性格等はあくまでも全体会合にて決定することとなり、詳細に関しては第20回全体会合(2003年)にて提案、及び承認されることになった。もしも統合報告書を作成すると決定された場合には、TARの反省点も考慮して、IPCCとUNFCCCの科学的及び技術的な助言のための補助機関(SBSTA)とがより密に意見交換を行うことによってなるべく早めに質問を作成することが話し合われた。
なお、現ビューローメンバーの任期は第四次評価報告書最終版が作成されてから、1回目から2回目の全体会合までと決定された。この他、各国は、横断的課題に関しても留意する必要がある点や、第四次報告書完成後のoutreachの重要性、途上国からの執筆者の参加推進、英語以外の言語の研究成果を認める必要性等を指摘した。 |